ビートルズのレコーディング・セッション音源をまとめた新世代の集大成ということでマニアから好評を頂いている「COMPLETE RECORDING SESSIONS」ですが、そのスタート地点である「VOL.0」はすでにリリースされました。デビュー前の音源は当然ながらセッション段階のものが存在せず、おまけにトニー・シェリダンのバックを務めたスタジオ録音(ビートルズが歌わない)から始まることもあり、「VOL.1」以降のスタジオ音源とは趣が異なります。ところが彼らのデビュー前のスタジオ録音が丸ごと一枚のCDで聞けてしまうという便利さ、さらにデッカ・オーディションを始めとしたデビュー前有名音源のベスト・ソースばかりがまとめられている便利さが大きな魅力。そして何よりも「シリーズものなのだから、やはり「VOL.0」もUpgrade盤で持っていたい」という声までもが寄せられるようになり、続編「VOL.3」のリリースと合わせて「VOL.0」のUpgradeCDリリースが実現。このディスクの前半を占めるトニー・シェリダン音源ですが、元になったcolttukey制作バージョンにおいてはファンがボーカルの定位をセンターに移した、いわゆるファンミックスのバージョンが採用されていました。これは「KICKS KUDOS AND CASH」というファン制作リリースのアイテムの中で試みられていたものですが、もちろん正式なリミックスではない。そこで今回のリリースに当たっては、このパートをすべてポリドール・レギュラー・ミックスに差し替えました。資料的見地からすればこちらが正解というもの。 逆に言うとこれで初回盤にも価値が残されたということになります。そう、ここだけでセンターミックスのバージョンが聞かれるからです。初回をお持ちの方は、是非とも今回のレギュラー・ミックスと聞き比べください。「VOL.0」の中核を占めるデッカ・オーディション・テープは「KICKS KUDOS AND CASH」にも流用され、さらにはゴッドファーザーも「WHERE ARE WE GOING, BOYS? THE DEFINITIVE DECCA TAPES」をリリースしたほどデッカ・テープのベスト・バージョンとして話題を呼んだファンリリース「NEVER MIND THE TREMELOES...HERE'S THE BEATLES」からの収録。LPの時代からブート、オフィシャル入り混じって様々なアイテムがリリースされてきたデッカ・テープですが、結局はこの音源を初めて明るみに出したデッカゴーンのシングルと、同じレーベルがLPで出し直した「THE DECCAGONES」がベストということがマニアの間で認識され、そのマスターがようやくネット上に現れてくれたのが「NEVER MIND THE TREMELOES」だったのです。遂にメジャーデビューが叶った6月6日のオーディションを兼ねたファースト・レコーディングに関しては「Besame Mucho」のロングバージョンが発掘されて久しいものですが、これだけ他の曲と比べてざらついた質感ですので、今回のリリースに当たってはイコライズにて緩和。他のファースト・レコーディング曲との違和感がかなり狭まりました。さらに今回のリリースに当たってはボーナストラックを追加してさらに内容を充実させています。厳密にはスタジオ・レコーディングと呼べないものの、観客を入れないキャバーン・クラブにおけるリハーサルをボーナスとして収録。我々にはキニー製「THE CAVERN TAPES CIRCA 1962」の頃からおなじみの音源ではありますが、ここの収められたのは不要なカットを修繕し、さらにピッチも緻密にアジャストしたmaster jedi(「LAST LACQUERS」でおなじみ)制作の同名リリースから収録。既に広く出回っていた音源ということもあり、彼のバージョンの存在を知らないマニアが意外と多いのではないでしょうか。そして今回のディスク最後を締めくくるのはビートルズが1962年10月29日に出演したマンチェスターでのテレビ番組「PEOPLE AND PLACES」からの「A Taste Of Honey」。もちろんスタジオ音源ではありませんし、おまけに演奏の途中からの録音となっています。しかしビートルズ1962年のテレビ出演に関しては映像がまったく現存しておらず(まだデビュー間もない時期だから当然ですよね)、当時の放送をテレビのスピーカーから辛うじて録音して残された断片がこれなのです。当日は他にデビュー曲の「Love Me Do」も演奏されたとのことですが、残念ながらここで聞ける断片がすべて。何よりもこの時代のテレビ出演で口パクではないライブ演奏と言うのが貴重ですし、今まではBBCラジオでの演奏だと誤解されていた上、狂ったピッチで収録されている場合の多い音源でした。ここでは正確なピッチで収録されており、断片的ながらも聞き応えのある演奏となっています。こうしてトニー・シェリダン、デッカ・テープ、そして最初期EMIレコーディングといったデビュー前の有名音源が一枚のCDに、しかもベストのバージョンでまとめられている。追加されたキャバーン・クラブ・リハでは「I Saw Her Standing There」の最初期バージョンが聞かれる点も魅力。ここでは後のアルバムバージョンやスター・クラブでの演奏と違い、落ち着いたテンポで演奏された上にジョンが何とハーモニカを吹くという異色なアレンジに驚かされることでしょう。「COMPLETE RECORDING SESSIONS」シリーズ本編と比べると異色の内容かもしれませんが、初心者からマニアまで楽しめるデビュー前音源における文句なしの集大成。クオリーメン時代の録音した「That’ll Be The Day」アセテートの方はこれまた好評の「LAST LACQUERS」でどうぞ。 (78:39) 01. My Bonnie [German Intro] 02. My Bonnie [English Intro] 03. My Bonnie 04. The Saints 05. Why (Can't You Love Me Again) 06. Cry For A Shadow 07. Ain't She Sweet 08. If You Love Me Baby 09. Nobody's Child 10. Money (That's What I Want) 11. The Sheik of Araby 12. Memphis, Tennessee 13. Three Cool Cats 14. Sure To Fall (In Love With You) 15. September In The Rain 16. Take Good Care of My Baby 17. Till There Was You 18. Crying Waiting Hoping 19. To Know Her Is To Love Her 20. Besame Mucho 21. Searchin' 22. Like Dreamers Do 23. Hello Little Girl 24. Love of The Loved 25. Besame Mucho 26. Love Me Do 27. Sweet Georgia Brown [1962 Version] 28. Sweet Georgia Brown [1964 Version] 29. I Saw Her Standing There 30. One After 909 [Take 1] 31. One After 909 [Take 2] 32. Catswalk [Take 1] 33. Catswalk [Take 2] 34. A Taste of Honey [Partial]









