ZEP最古のライブ音源と言えば1868年ゴンザガ大学。LAフォーラムやハンプトンといった有名会場と違って他アーティストのライブ音源では知られない会場ですので、「ゴンザガ」と言えばZEP最古のライブ音源だと通じるくらい名が知れている。この貴重な音源はTMOQ系列によるリリースだったLP「ALPHA&OMEGA」にて発掘され、それまで噂されていながらも存在が確認されていなかった1968年のオーディエンス録音として世界中のマニアを驚かされたものです。それ以前には「FIRST CONCERT AS THE NEW YARDBIRDS AT THE MARQUEE 16-10-1968」と言う、まるでニュー・ヤードバーズのギグを収録したかのようなタイトルも存在しましたが、実際には69年のBBCとウインターランドを混ぜただけの駄盤なんてのもありました。噂は昔から飛び交っていたものの、結局は現在に至るまでゴンザガこそ唯一の68年ZEPのライブ音源となっています。これだけの年数が流れてしまった今となっては、ZEPの新たな68年ライブ音源が可能性は極めて薄いと言わざるを得ません。何故ならば68年の彼らはあくまで駆け出しのバンドであり、ペイジの「元ヤードバーズ」という肩書が辛うじて人々の興味をかき立てていたレベル。ましてやファースト・アルバムの発売前という時期でもあったのです。それでもZEPは結成当初から活動の地固めを築くべく精力的なライブ活動を行っており、12月の下旬には早くも初のアメリカ・ツアーを敢行しました。ヤードバーズ末期の経験から、アメリカで成功する為には国中をツアーして回るしかない…そういったピーター・グラントの戦略の下、ファースト・アルバムのリリースを待たずにZEPの初訪米が実現。この状況下でアメリカに向かったというだけでも驚きですが、さらに彼らがアメリカで年を越すことになったスケジュールにも驚かされます。最初のアメリカ・ツアーの内、68年の行程で最後のギグとなったのが30日のゴンザガ大学でした。つまり、本当にギリギリのタイミングで68年のステージが記録されたことはラッキーだったとしか言いようがない。あと数日違えば68年のライブ音源は皆無となってしまい、危うく最古の音源が69年早々のウイスキー・ア・ゴーゴーとなってしまうところでした。ところがゴンザガのオーディエンス録音は当初評判が今一つでした。それは一重にオープニングの「The Train Kept A Rollin'」で音の歪みが強かったことが原因かと。そのせいで「ゴンザガは貴重だが音が悪い」と烙印が押されてしまった時期がありました。しかしどうでしょう、実際には演奏に抑揚が効いた「I Can't Quit You Baby」から格段に聞きやすくなっている。結局ちゃんと聞いていなかった人が広めた風評被害のようなものだったのです。むしろ1968年の時点でファースト・アルバムすらリリースしていない駆け出しのバンドが、当時スター・バンドだったバニラ・ファッジやスピリットの前座を務めたステージがよくぞここまでの音質で捉えられていたものだと、今をもって驚きを禁じ得ません。何しろ音像が驚くほどオンなバランスであり、むしろ聞き込めてしまう状態であると、近年は音源の価値だけに留まらない正当な評価が与えられるようになりました。録音開始当初はプラントの声が演奏に押され気味ではありましたが、それも演奏が進むにつれて解消されていきます。それに何と言っても68年の若きプラントの声です、疲れを知らないスクリームがどこまでも響き渡る様子は圧巻。演奏全体はどれもいい意味でこじんまりとした展開ばかりであり、年を越した途端に週単位で進化し始める楽曲のベーシックな姿がむしろ新鮮に響くのもゴンザガの大きな魅力。既にこの時点で初期ZEPを代表するライブ・カバー「As Long As I Have You」を取り上げている点が注目に値します。数週間後のフィルモアと比べればまだまだ基礎的な展開で全体の尺も短めですが、一緒にツアーを回っていたスピリットの「Fresh Garbage」リフへと切り替わり、そこからマイルス・ディヴィス&ミルト・ジャクソンの「Bag's Groove」のフレーズをプラントが高速でハミング(原曲よりかなりの倍速)する展開は既に完成していました。こうしたさまざまなジャンルのメロディをごった煮にしたかのような展開はハードロックと言うよりも、いわゆるアートロック的なものがあり、まだまだヤードバーズ末期のテイストを漂わせていたことが伺えます。同じようにこれから展開がどんどんエスカレートして様々な曲がインクルードされることになる「How Many More Times」にしてもこの時点では実にプレーンな状態で、ほぼアルバムバージョンに即した演奏を聞かせているのがこれまた新鮮。恐らくはボンゾのドラムソロ「Pat's Delight」の後で「Communication Breakdown」を演奏して次のスピリットにステージを譲ったのだと推測されますが、残念ながら録音はボンゾのソロの途中で終了。それでもなお、これからブレイクするかどうかも解らない駆け出しのバンドの前座ステージがこれほどの音質と長さで人がいたことには感謝の気持ちしかありません。ゴンザガは最古のライブ音源と位置づけによって、これまでにも多くのアイテムを輩出してきましたが、ここ十年ほどはEVの「LIFETIME GUARANTEE」がベストとされてきました。しかし今回の限定プレスCDリリースに際しては、最近レア音源界でおなじみKRW_COがマスターから改めてトランスファーした最新バージョンを使用。これまでにリリースされてきたどのタイトルよりもナチュラルな状態での収録を実現してみせました。特に「LIFETIME GUARANTEE」とはまったく音の質感がまったく異なっており、元の録音がいかにも1968年と言う時代の空気をたっぷりと吸い込んだビンテージな録音であったことを再認識させられることでしょう。しかしながら「LIFETIME~」のイコライズの仕上がりはリリースから十年が経過した今の耳でも中々の仕上がりだと言え、ビギナー・クラスの方などはそちらを好まれるかもしれません。しかも今回はマスターからの収録を尊重し、一切のイコライズを加えていないのです。よって「I Can't Quit You Baby」の2:52辺りで起こる音落ちなども今回は敢えて修繕を試みていませんが、その個所に関しても「LIFETIME~」では緩和されていました。ところが、これまでのゴンザガ・アイテムは一様にして低いピッチがおざなりなままで、それは「LIFETIME~」にしても同様だったのです。そこが当初ゴンザガの印象を悪くしていた感が否めません。何しろZEP最古のライブ音源、曲の中でもピッチの上下動があるほどなのですが、今回のリリースで初めて可能な限りのアジャストを敢行。かつてないナチュラルな味わいというだけでなく、それまでにないほど正常な状態でのリスニングを可能とした点が大きなポイントです。ここまで挙げてきた理由からマニアには有名音源だったゴンザガ、その久々なリリースと言うだけでなく、遂にベストを刷新するアイテムの登場です! Live at Gonzaga University, Kennedy Pavilion, Spokane, WA. USA 30th December 1968 (55:44) 01. Train Kept a Rollin' 02. I Can't Quit You Baby 03. As Long As I Have You (incl. Fresh Garbage, Shake, Mockingbird) 04. Dazed and Confused 05. White Summer / Black Mountain Side 06. How Many More Times (incl. The Hunter) 07. Pat's Delight









