1973年「Brain Salad Surgery」製作前に、3月末から5月上旬にかけて行われたヨーロッパ・ツアー("Someone Get Me A Ladder Tour")より、4月15日のスイスはチューリッヒ公演を極上レベルの超高音質オーディエンス録音で1時間31分収録。この音源は、過去に某トレーディングリスト上で「トレ禁音源」として扱われていたもので、元々がツアー屈指のクオリティを誇る、まさにプレス盤リリースに相応しい音の格と質を兼ね備えた大傑作音源です。本盤は、現行リマスター処理により、既発盤CDタイトルを完全に凌駕するパーフェクトな一枚に仕上がっています。既発を知る人なら、冒頭からあまりの音の良さに驚愕すること間違いありません。オープニングは「Abaddon's Bolero」で、この曲のプロショット映像が先日ネットを介して出現、ファンの話題をさらったのは記憶に新しいところ。イントロで聴こえるToccata風のカールのドラムとキーボードの重低音から、この音源が只者でないことは容易に理解できると思います。Karn Evil 9 1st Impressionのプロトタイプ、そして「ここまで速く演奏する必要があるのか?」と思わせる、まさにぶっ飛びのTarkusと、最強の演奏を最高音質で楽しめます。おそらくELPが最も勢いに乗っていた時期がこの1973年春のヨーロッパ・ツアーではないでしょうか。定番化したステージを再構築することで、大いにリフレッシュさせ、その演奏の肝の部分をダイレクトにぶつけまくるこの時期の演奏の凄まじさは、誰にも再現できない独特の質感を放っています。ベストトラックは間違いなくTarkusで、初期の荒さとはまた違った形骸化とは無縁のオリジナルな魅力を満載した演奏を楽しむことができます。このムーグの高音がここまでしっかりと録音されていたのは奇跡的と言っても良いかもしれません。ファン必聴のパートが次々に現れます(特にAquatarkusパートが凄すぎ!)。ELPのブートでここまで美味しいタイトルはこれまで無かったかもしれません(曲途中、更には、最後の最後でややテープの劣化が確認できますが99%最高レベルの音質で楽しめます。)。ディスク2では、Jeremy Bender/Sheriffでカセットテープ特有の経年劣化が確認できますが、Sheriff後半になると音像も落ち着いてきます。Take A Pebble以降は全く問題ありません。Take A Pebbleに組み込まれたグレッグのアコースティックパートは聴き所で、 Still You Turn Me Onの未完成ヴァージョン(これも素晴らしい)に続く、曲調がガラっと変わるYou Never Heard A Word(歌入り)なる小品は珍しく、まさに必聴パートになっています。10分近いピアノ・インプロヴィゼイションも聴きごたえ満点。Hoedown終演後、キースが「カールのスネアドラムが壊れたので交換するからちょっと待って下さい」とMC。カールの軽いドラム試奏の後、15分のPictures At An Exhibitionがメインセットを締めます。PromenadeからThe Curse/Hut Of Baba Yaga-Gates Of Great Kievと続く演奏ですが、Baba Yagaパートの狂乱の史上最速演奏ぶりは圧巻。Gates Of Great Kievのエンド直前でのフェイドアウトが残念ですが、間違いなく、近年のELPライブ盤の中でもダントツ1位の内容と圧倒的魅力を誇る一大決定版。 Live at Hallenstadion, Zurich, Switzerland 15th April 1973 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc 1(41:50) 1. Abaddon's Bolero 2. Karn Evil 9 1st Impression 3. Tarkus Disc 2(49:11) 1. Jeremy Bender/Sheriff 2. Take A Pebble 3. Still You Turn Me On 4. You Never Heard A Word 5. Lucky Man 6. Piano Improvisation 7. Take A Pebble(Reprise) 8. Hoedown 9. Pictures At An Exhibition Keith Emerson - Keyboards Greg Lake - Bass, Guitar & Vocal Carl Palmer - Drums & Percussion