こんなに良い音のELPを聴いたのは、一体何年ぶりだろう……。40年前の録音とは思えない素晴らしいオーディエンス・サウンドの傑作録音が登場です! ……とは言っても、この音源は完全な初登場ではありません。本作に収められているのは「1973年4月10日ルートヴィヒスハーフェン公演」で、以前「LUDWIGSHAFEN 1973」のアップグレード盤です。ここで「なんだリマスターか」と早合点してはいけません! 「LUDWIGSHAFEN 1973」は、ボーナスながら驚異の新発掘として大いに話題となりましたが、同時に致命的な大欠点もありました。テープが人の手から人の手へと移ってくどこかの段階で誰かの悪意が紛れ、丸っきり関係ない別の音楽が被せられていたのです。うっすらと電波が混信したような「Jeremy Bender/The Sheriff」「Tarkus」「Take A Pebble」……文化遺産級録音の大発掘なのに、なんてことを……。しかし、不自然な悪戯ということは、その大元マスターはどこかに存在するということ。今回登場したのは、その大元マスター・リールなのです!悪戯がないだけではありません。さすがはマスター・リール、ノイズや経年劣化も最小限に抑えられ、テープ全体で音質がアップグレードしている。冒頭「Abaddon's Bolero」こそテープ劣化の跡も感じられますが、それもすぐに改善され、以降まったく問題ありません。このサウンドで1973年の“SOMEONE GET ME A LADDER TOUR”が聴けるのです。ここで、“SOMEONE GET ME A LADDER TOUR”についても少し触れておきましょう。マニアの間でも「特別」と言われるツアーですが、それはなぜなのか。デビュー直後から1972年までのELPは、アルバムを手早く仕上げてはツアーに邁進し、成功街道をばく進していました。ライヴのセットも新曲が加わることはあってもショウの基本軸は変わらず、時期の違いは“発展過程”を確認するようなもの。そんな状況に最初の転機となったのが1973年なのです。マンネリを感じたのか分かりませんが、すべての面で“練り”が見られるようになった。ビジネス面ではマンティコア・レーベルを立ち上げて後進の育成に目を向け、創作面ではスタジオでじっくりと時間をかけるようになった。そして、パフォーマンスの面で変化を見せ始めたのが、1973年4・5月の“SOMEONE GET ME A LADDER TOUR”というわけです。本作でもポールポジションが当然だった「Hoedown」を後半へ追いやり、「Abaddon's Bolero」でスタート。さらに凝りに凝った新曲の「Karn Evil 9(のプロトタイプ)」へ畳み掛けるなど、“変わろう”という意欲がアリアリと現れている。その意欲は、演奏のパッションにも直結して「Tarkus」「Hoedown」も一気に高速化! インプロヴィゼションも極初期の熱さを取り戻したかのようです。その「Hoedown」、音質も含めて本作のハイライトでしょう。冒頭のチューニングから恐ろしいほど音が良く、いきなり強烈な高音質で爆走! そこから終演まで一気呵成に押しまくる46分間は、まさにELPの真骨頂。22分間に及ぶ初期アレンジの「Toccata」など、貴重なテイクも交え、もうワケが分からなくなる大スペクタクルです。正直な話、最初の1回目だけはディスク2から聴き始めても良いかもしれません。もちろん、ディスク1から聴き始めるのが正道ですし、ショウの前半も聴きどころだらけなのは間違いありません。しかし、ELPにド肝を抜かれるなんて、もう二度とないかも知れない贅沢です。ショウの全貌をたっぷりと味わうのは後の楽しみにして、まずは最上級の高音質と最大級の演奏で、思いきりぶっ飛ばされてみるのはいかがでしょうか。本当に、これほどのサウンドのELPを聴いたのは5年ぶり、いや、もっと以前だったかも知れません。歴史上のターニングポイントにして強烈の演奏が聴ける“SOMEONE GET ME A LADDER TOUR”。その6公演目を、最後の「Finale」まで全編最高サウンドで堪能できるスーパー・タイトルです。すべてのELPファン、プログレファンに胸を張ってお薦めできる決定盤、遂に登場です! Live at Friedrich-Ebert-Halle, Ludwigshafen, Germany 10th April 1973 PERFECT/TRULY PERFECT SOUND Disc 1(72:13) 1. Intro 2. Abaddon's Bolero 3. Karn Evil 9 4. Jeremy Bender/The Sheriff 5. Tarkus incl. Epitaph 6. Aquatarkus 7. Take A Pebble 8. Still You Turn Me On 9. You Can Sing My Song 10. Lucky Man 11. Piano Improvisation 12. Take A Pebble (Conclusion) Disc 2(45:12) 1. Hoedown 2. Pictures At An Exhibition Promenade / The Hut Of Baba Yaga / The Curse Of Baba Yaga / The Hut Of Baba Yaga / The Great Gates Of Kiev 3. Toccata 4. Drums & Percussion Solo 5. Rondo 6. Finale