ルー・リードがあの「メタル・マシーン・ミュージック」を現代テクノロジーを駆使し再現すべく、2008年頃よりライブ活動を開始させたエレクトロニクス・ユニット「MM3」による2010年UK&ユーロ・ツアーより、2公演目となる4月18日、オックスフォードのO2アカデミーでのパフォーマンスを、デジタル・オーディエンス・マスターからサウンドボード・クオリティーにてコンプリート収録。2008年ツアーからLA公演のライブ音源がネットでも公式リリースされている中、この時期アンビエント色が強かったのに対して、さらにエレクトロニクスとウルリッヒ・クリーガーのサックスなども随所にフューチャーさせ、アヴァンギャルドかつ、スピリチュアルなフリー・ジャズの側面も披露。そしてルーは一切歌うことなく、おびただしいエフェクター類を操作しながら時折ギターを弾くのみ。のこり2人のメンバーもソリストとしての実力を十分に発揮し、「メタル・マシーン・ミュージック」のカオスを見事に復活。またルーのギターも即興演奏といっても、かつて様々な楽曲で弾いたフレーズの断片のさらに断片を散りばめたもので、そのトーンは紛れもなくルー・リード。ゆったりとたまゆらなアンビエントから始まりつつ、ロックン・ロールを感じさせるファズまみれのフレーズも見え隠れ、そしていつの間にかフィードバック・ノイズへと移行していく美しい展開を、超クリアーな音質で2時間弱にわたり緊張感をキープしたまま捉えた、音響、シューゲイズ、ドローン・サイケ、フリーインプロ・ファンなども必聴の、究極のエレクトリック・インストゥルメンタル。