つい先日、行われたばかりの最新“ライヴ・イン・ジャパン”が到着しました。今回のジャパンツアーは、2012年4年ぶりとなるもの。全国で4公演が実施された中で、本作は「2016年1月16日・仙台公演」のオーディエンス・アルバムです。ここで、今回のツアー日程をカンタンに振り返ってみましょう。 ・1月9日:大阪・大阪国際会議場・1月12日:名古屋・刈谷市総合文化センター・1月15日:横浜・パシフィコ横浜・1月16日:仙台・イズミティ21 【本作】 このように仙台公演は、ジャパンツアーの最終日でもありました。実は、この仙台公演は、歴史的に貴重な1日でもあります。CHICAGOの初来日は1971年にまで遡り、それ以降、今年で14度目の日本となるわけですが、実は東北公演は今回が初。今まで北海道や新潟県はあったものの、45年間で東北公演は一度もなかったのです。そんな記念すべきライヴを記録した録音家は、知る人ぞ知る仙台の名手。外タレの来日公演が少ない土地柄ではありますが、その手腕は確かなもの。近年の作品では、DEF LEPPARDのプレスCD「SENDAI 2015」やシンディ・ローパーの「SENDAI 2015」など、客席記録の空白地帯とは思えぬハイクオリティ・サウンドを聴かせてくれました。そして、本作もまた名手の腕が冴え渡っている。現場となった“イズミティ21(仙台市泉文化創造センター)”は、約1,500人収容でCHICAGOとしては小ぶりな会場。その分、アットホームな密着感が実に素晴らしい。しかも、前方8列目となるポジショニングにより、楽音の間近感も満点。それこそ、サウンドボードかのように輪郭の輝く楽音がダイレクト感たっぷり注ぎ込まれ、ほんのり・うっすらとまとった会場残響が頭の後ろの方へと広がっていく。歌声はどこまでも生々しく、ブラスの響きは脳内で直接鳴っているかのように鮮やか。楽音自体はクリアさそのものでありながら、拍手や声援は生々しく、会場を包み込む現実感もある。音楽を楽しむ意味でも、コンサートを追体験する意味でも、理想的なサウンドなのです。そんなサウンドで彩られたCHICAGOのショウは、めくるめくヒット・パレード。近年作は新曲「Now」程度に抑え、イントロが流れる度に“あの曲だ!”がもの凄い。ラジオに耳をそばだて、LPを大事にかけていた部屋の光景まで蘇るよう。それもそのはず、なにしろ、披露された全26曲中、22曲がシングルソング。しかも、全米1位の「If You Leave Me Now」「Look Away」「Hard To Say I'm Sorry」をはじめとしたトップ10ヒットが15曲(「Make Me Smile」「Colour My World」もカウントすれば17曲)という超豪華ライヴ。しかも、ヒットしていた時代が70年代だけでなく、80年代まで幅広いものですから、それぞれの時代で聴いていた光景が次々とフラッシュバックしてくる。まさに、CHICAGOだからこそ、CHICAGOでしかあり得ないライヴアルバムです。こんな郷愁にも似た感覚は、単にヒット曲が実はとんでもなく限られた録音でしかあり得ない贅沢。もし、これでノイズやらワープがあろうものなら一気に興醒めしてしまいますし、ほんの少しでも我慢を強いられたら浸りきることはできない。そして、現場感覚のないサウンドボードも難しい。滑らかで淀みなく、それでいて現場の現実感、会場の暖かみまで伝えてくれる極上のオーディエンス録音だからこその体験なのです。初来日から45年で初めて実現した東北公演。その地だからこその暖かいオーディエンスと、たっぷりとした名曲の数々。71歳とは思えないロバート・ラムの歌声も瑞々しく捉えた傑作録音です。突如厳しさを増した冬の空気まで優しく照らしてくれるようなハートウォーミングな1枚。ぜひ、あなたの週末を贅沢に彩るライヴアルバムをお楽しみください。 Izumity 21, Sendai, Japan 16th January 2016 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1(79:59) 1. Pre Show Music 2. Opening SE 3. Questions 67 & 68 4. Dialogue (Part I & II) 5. If You Leave Me Now 6. Alive Again 7. Wake Up Sunshine 8. Now 9. Call On Me 10. (I've Been) Searchin' So Long 11. Mongonucleosis 12. Will You Still Love Me? 13. Another Rainy Day In New York City 14. Look Away 15. Ballet For A Girl In Buchannon (Make Me Smile / So Much To Say, So Much To Give / Anxiety's Moment / West Virginia Fantasies / Colour My World / To Be Free / Now More Than Ever) Disc 2(79:58) 1. Intermission 2. Old Days 3. Does Anybody Really Know What Time It Is? 4. Hard Habit To Break 5. You're The Inspiration 6. Beginnings 7. I'm A Man 8. Street Player 9. Just You 'n' Me 10. Hard To Say I'm Sorry / Get Away 11. Saturday In The Park 12. Feelin' Stronger Every Day 13. Free 14. 25 Or 6 To 4 Robert Lamm : keyboards, vocals Lee Loughnane : trumpet, flugelhorn, vocals James Pankow : trombone, vocals Jason Scheff : bass guitar, vocals, keyboards Keith Howland : guitar, vocals Tris Imboden : drums Lou Pardini : keyboards, vocals Ray Herrmann : saxophone, vocals Walfredo Reyes, Jr. : percussion