このショウは過去に「2月23日」としてリリースされたこともありましたが、良好な音質に反してテープスピードが狂っており、日常的に聴くにはストレスの溜まる音源でした。しかし、本作は大本のマスターから全面的にデジタルリマスターを施し、既発では少々ぼやけていた演奏の輪郭も引き締まり、シャープに抜けるスマートなサウンドを実現。もちろん、テープスピードも正常なピッチへとアジャストされ、既発よりも数段聴きやすく、元の名録音ぶりがシッカリと伝わる決定盤仕様には、誰もが「こうでなくちゃ!」と膝を叩きたくなることでしょう。このリバプール公演では、真冬にも関わらず誰も会場に暖房を入れなかったため、開演直前になってもカヴァデールの息が白んで見えたというエピソードが伝えられています。このような厳しい寒気の中でありながらバンドと会場に詰め掛けたファンの熱気は凄まじく、オープニングの「Gambler」から吹き上がるようなバンドの意気にオーディエンスも大歓声で応酬する、白熱のショウが楽しめます。ツアー初期ゆえ、続く「Guilty Of Love」ではカヴァデールが歌いだすタイミングを誤ってしまうという珍しい場面も見られますが、そんな些細なミスを吹き飛ばすような熱演は圧倒的の一言。バンドが一体となって繰り出すハイテンションな演奏に、聴き手は心地よく陶酔させられるでしょう。特に聞き逃さないで頂きたいのは、「Crying In The Rain」のコーダにインサートされる「Soldier Of Fortune」。従来からのお約束ですが、ここではその冒頭でカヴァデールが「Only My Soul」のワンフレーズを歌うというサプライズ! 「DEFINITIVE GLASGOW 1984」にもある演出ですが、こちらの方が長め。雰囲気こそ異なっているものの、「NORTHWINDS」に収録されたこの名曲をジョン・ロードのバックで聴けるのは嬉しい限りです。そのジョン・ロードのソロパートは「BEFORE I FORGET」でも聴けたフレーズが秀逸で、DEEP PURPLEナンバーも織り交ぜた構成がとても楽しい。イギリス公演だからこその一体感と感動に満ちたアンセム「Ain't No Love In The Heart Of The City」、会場全体を熱気の渦に巻き込む「Fool For Your Loving」、アンコールの「Slide It In」に、大興奮の「Don't Break My Heart Again」と、素晴らしい盛り上がりのうちにショウが締めくくられます。マスターの都合で「We Wish You Well」が聴けないのは残念ですが、ここで演奏される曲のすべてが今やWHITESNAKEクラシックであり、新旧を織り交ぜた'84年ツアーのセットリストこそ多くのファンが求めるものでしょう。わずか4ヶ月間(ツアーだけなら2ヶ月間)で消えた「6人編成」ですが、本作と「DEFINITIVE GLASGOW 1984」「SHARWOOD LEGEND」を並べて聴く事により、一気に進化の過程を追う事ができます。WHITESNAKEが最も熱くパワフルだった'84年ツアーの、滾るようなエネルギーと熟練さが織り交ざったライヴをどうぞお楽しみください。 Live at Royal Court Theatre, Liverpool, UK 24th February 1984 TRULY AMAZING SOUND Disc 1 1. Intro. 2. Gambler 3. Guilty Of Love 4. Ready An' Willing 5. Love Ain't No Stranger 6. Here I Go Again 7. Slow An' Easy 8. Crying In The Rain 9. Only My Soul/Soldier Of Fortune Disc 2 1. Keyboard Solo 2. Drums Solo 3. Ain't No Love In The Heart Of The City 4. Fool For Your Loving 5. Need Your Love So Bad/Thank You 6. Slide It In 7. Don't Break My Heart Again David Coverdale - Vocal John Sykes - Guitar Mel Galley - Guitar Jon Lord ? Keyboards Neil Murray - Bass Cozy Powell ? Drums