本作は「1983年モンスターズ・オブ・ロック」に出演した際のFM放送を収録したサウンドボード・アルバム。“英国メタルの声”、トミー・ヴァンスのDJも時代感覚満点です。この年は、WHITESNAKEがトリを務め、DIOがスペシャル・ゲスト。双方とも不完全ながらオフィシャル化もされていますが、本作はライヴ全編を収めた完全収録です。そのサウンドはほぼ完璧なオフィシャル級。ノイズも歪み劣化もなく、大舞台に立ったテンションの高さも演奏の機微も耳元ばっちり! オフィシャルのスタジオ・アルバムを持っていない方でも、安心してTWISTED SISTER入門ができる1本なのです。そんなハイクオリティ・サウンドボードで聴けるのは、セカンドアルバム「YOU CAN'T STOP ROCK 'N' ROLL」をリリースしたばかりのTWISTED SISTER。「I Am (I'm Me)」が英国チャート18位まで駆け上がり、全世界に先駆けてイギリスで火が付いた瞬間を収めている。メタルの聖地ドニントンに乗り込み、本場の大観衆を征服していく大熱演。世間的には「We're Gonna Make It」の一発屋とも思われてしまうバンドですが、その前から着実に支持層を拡大し、世界一シビアと言われる本場英国のロックファンをも支配下に置いていたのです。実際、本作から聞こえる歓声は「お前達を待ってたぜ!」と言わんばかりの熱さ。実際のところ、サウンドボードゆえに遠く小さいオーディエンスノイズでしかないのですが、超クリアな演奏の向こう側でも分かるほどの大歓声。スプレー式のブザーも鳴りまくり、あのシニカルで厳しい英国紳士どもが諸手を挙げて大歓迎してるのが伝わってくるのです。まったくもって聴けば聴くほどに素晴らしいサウンドボードですが……いえ、「だからこそ」と言った方が良いかもしれません。やはり気になってしまうのがオーディエンスです。美しく録音されたサウンドボードだからこその、遠く小さい歓声。これがTWISTED SISTERでなければ、「COME OUT AND PLAY IN NOTTINGHAM」を体験していなかったなら、「心の底から熱狂できる超名盤」とご紹介したことでしょう。しかし、「COME OUT AND PLAY IN NOTTINGHAM」の圧倒的なリアリズム、あのテープに封入された“熱さ”は、あまりにも凄まじすぎた……。なんら問題ないサウンドボードの名盤、しかもモンスターズ・オブ・ロックの大熱演の後で聴くと、より一層凄みが鮮烈。「完璧なサウンドボードより凄ぇ!」となるはずですから。 なんだか、本作を紹介しているのかどうか分からなくなってしまいましたね。ともあれ、本作は「オーディエンス録音だしな……」「TWISTED SISTERはよく知らないし……」という方にも納得いただけるであろう盤石の保険盤。 Live at Donington, UK 20th August 1983 STEREO SBD 1. Tommy Vance Introduction 2. What You Don't Know 3. The Kids Are Back 4. Shoot 'em Down 5. Destroyer 6. Like A Knife In The Back 7. Ride To Live, Live To Ride 8. We're Gonna Make It 9. You Can't Stop Rock 'n' Roll 10. I Am I'm Me 11. It's Only Rock 'n' Roll FM BROADCAST RECORDING