ジェフ・ハンネマンのラスト・ショウにして、大名盤『SEASONS IN THE ABYSS』完全再現のライヴアルバムが登場です。ジェフの生涯最後のステージとなったのは「2010年10月21日ユニバーサル・シティ」公演。本作は、その極上オーディエンス録音です。ジェフ最後のショウは、イコール“オリジナル4人の最後”でもあります。このショウは2010年ツアーの最終公演であり、翌2011年にはジェフが不運にも蜘蛛に噛まれてバンドを離脱。脱退ではなく、あくまで休養だったものの、結局ギターを弾くところまで回復することは叶わず、2013年5月2日に肝不全で他界。その訃報を待たず、2月20日にはデイヴ・ロンバードも脱退しており、“オリジナル4人”は崩壊してしまったのです。 【大名盤『SEASONS IN THE ABYSS』の完全再現!】 本作は、そんな“オリジナル4の最終公演”を体験できるライヴアルバムなのですが、それだけではありません。本作は、貴重な「本生版SEASONS IN THE ABYSS」の最高峰でもある。現在の音楽シーンでは名盤を丸ごと演奏するライヴが定番となっていますが、スラッシュ・メタルにその手法を持ち込んだのはSLAYER。『REIGN IN BLOOD』を再現したオフィシャル作品『STILL REIGNING』は名作として愛されていますし、もう1本のプロショット『ANOTHER REIGNING(Shades 850)』も大好評を賜っています。しかし、SLAYERが再現したアルバムはもう1枚あった。それが大名盤『SEASONS IN THE ABYSS』。ここで、記録の意味でもSLAYERが名盤再現した日程をご紹介しましょう。 ・2010年6月3日+30日:ロンドン/ミラノ(2公演)・20107月23日-10月21日:北米(46公演) 以上、全48公演。これが『SEASONS IN THE ABYSS』再現ライヴのすべてで、『REIGN IN BLOOD』再現とは違って2010年だけでした。そして、これが鬼門でもありました。『STILL REIGNING』と同じようにオフィシャル作品の発売が望まれていましたが、残念ながら実現しなかった。それどころか、プロショットもサウンドボードも一切発掘されてこなかったのです。それだけに世界中のマニアが「ベストな5th再現ライヴはどれだ!?」と血眼になった。その探索の結果、見出されたのが本作だったのです。 【極上のクオリティ】 実際、本作のクオリティは格別。奇しくもジェフの最終公演と重なったわけですが、その希少価値を吹っ飛ばすほどの極上ぶり。事実としては観客の息吹も生々しいオーディエンス録音なのですが、その極太な芯、クリアなディテールはそんじょそこらのライン録音も相手にならない素晴らしさ。マニアが「コレがベスト!」と騒ぐのも分かる……と言いますか、「これ以上クリアなサウンドはムリだろう」という名録音なのです。とは言え、本作にはオーディエンス録音の旨みもたっぷり。それは歓声。極太の演奏/シャウトに驚喜し、全力で叫ぶ観客の声も吸い込んでいるのです。……ここで勘違いしないいただきたい。本作はあくまでもSLAYERこそが堂々の主役。それは1ミリも動きません。しかし、そこに野太い唱和(と言いますか、唱叫ですね)がトム・アラヤに付き従うのです。元々、メロディ度外視のスラッシュ・メタルだけに、ぶ厚い叫びの波がシンクロすると攻撃力が倍増。まったく邪魔にならない。そして、コイツらが何とも良い感じのスラッシュ・ヘッドだから嬉しい。サビだけでなく早口の歌詞もすべて覚えており、「待ちきれねぇ!」とばかりに次の曲名を叫ぶ(アルバム再現だけに次の曲が分かるわけですね)。その気持ちが痛いほどに伝わり、共感できる。まさにスラッシュ・オーディエンスの見本、理想像たる1枚なのです。オフィシャルはおろか、一切のプロ記録さえ残らなかった『SEASONS IN THE ABYSS』再現ライヴ。その最高峰ライヴアルバムです。貴重な名盤再現ショウを極上のクオリティで味わえるだけでなく、これこそがジェフ・ハンネマン最後のショウです。真なるスラッシュ・オリジネイターは、この日に終わっていた。SLAYERがファイナル・ツアーを発表した今だからこそ味わっていただきたい唯一無二の超傑作です。 Gibson Amphitheatre, Universal City, CA. USA 21st October 2010 (77:50) 1. Jim Florentine Introduction 2. Opening3. World Painted Blood 4. Hate Worldwide SEASONS IN THE ABYSS LIVE 5. War Ensemble 6. Blood Red 7. Spirit In Black 8. Expendable Youth 9. Dead Skin Mask 10. Hallowed Point 11. Skeletons Of Society 12. Temptation 13. Born Of Fire 14. Seasons In The Abyss15. South Of Heaven 16. Raining Blood 17. Aggressive Perfector 18. Angel Of Death Tom Araya - Bass, Vocal Jeff Hanneman - Guitar Kerry King - Guitar Dave Lombardo – Drums