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Beatles ビートルズ/Die Beatles & Beatlesmania! with the Beatles

こう言っては何ですが、CDは本当に便利だと思います。アナログLPが見事な復権を遂げたことは結構なことですが、LPはどうしても再生時にスクラッチ・ノイズが入ってしまうし、針やターンテーブルの調整を要します。さらにビートルズでは絶大な人気を誇るUKオリジナル盤などになると、何よりも盤のコンディションが大きく関係してくる。その点2009年のリマスター盤CDときたら、プレイヤーにポンと入れて再生ボタンを押せば簡単にいい感じの音を鳴らしてくれる。それでいて音楽配信のように音だけを受信して聞くのではなく、物として持っていられる。2009年リマスターCDが世界統一規格となってしまったことで、LPの時代には雨後のタケノコのように溢れていた各国盤LPで聞かれた音質の違いの愉しみというのが減少してしまいました。それの登場以前の21世紀初頭、ビートルズ各国のLPを極めて丁寧かつナチュラルな音質でCD化してくれていたのがDr.Ebbetts。同レーベルは皮肉にも2009年リマスターの登場によって活動を停止してしまいました。さすがにビートルズのレギュラー・アルバムのステレオとモノをトレースしたアイテムはさすがのDr.Ebbettsでも価値を失ってしまった感が否めませんが、往年の各国盤を実に綺麗にCD化してみせていた功績は今も色褪せていない。一方で、今から十年前にCDが乱発されました。今も紀伊国屋の8階に行くと中古でたくさん並んでますよ(笑)。その乱発ぶりが仇となって、Dr.Ebbettsの良さが伝わらなかったように思えてなりません。おまけにモービルもどきなジャケット・デザインなど、アイテムとしての仕上がりが今一つだったことも事実でしょう。ところが当店が数週間前、カナダ盤の「WITH THE BEATLES」である「BEATLEMANIA」をリリースしたところ、2009年リマスターとははっきり違うアナログ・チックな質感を楽しめたという反響がありました。今になって同アルバムのDr.Ebbettsバージョンをギフトながらもリリースした理由がそこにあったのです。この独自な音質の秘訣はLP化する際の最終マスタリングが施されていない段階のフラットなマスターを使用したのではないか?という希望的推測がもたらされていました。実際の所は本アルバムをリリースしたカナダ・キャピトルのマスタリング技術がものをいった結果であり、やはりフラットなマスター・テープが使われた可能性は低い。それでもなおこの音質はなかなかに魅力的であり、なおかつCDでこのアルバムの音質を簡単に味わえるDr.Ebbettsバージョンは素晴らしい。今回はもう一つのナチュラル感が魅力な各国盤をカップリング。それがファースト・アルバム「PLEASE PLEASE ME」のドイツ盤である「DIE BEATLES」。実のところ、このアルバムこそが「フラット・マスター疑惑」の発端となった一枚。確かにこのアルバムも非常にまろやかな音質であり、その独自な質感がもしかしたらイコライズを施す前のマスターを使用したのでは?という推測が広まりました(巷ではDry Mixとも呼ばれていますね)。ところが本アルバム、微弱ながらもヒスノイズが見受けられる状態であり、やはりフラットなマスター使用した可能性は低いものでした。やはり、そう簡単にフラットなアルバムのマスター・テープは一国の支社に送られません。むしろアルバム単位でフラットなマスター・テープが送られたとすれば、それは音質の優劣以前に社内の一大事となりかねません。後の時代の話になりますが、「サージェント・ペパーズ」のアルバム・マスターが完成した際、同アルバムで大活躍したエンジニアのジェフ・エメリックが「イコライズ不要」との但し書き付きでマスターをマスタリング担当に送ったところ、大ひんしゅくを買ってしまったといういきさつがありました。そういう時代であり、やはりアルバムのマスター・テープが最終段階のイコライズを受けない状態で各国に送られるという状態は起こり得ない。よってこれらのアルバムの独自の音質、それは各国のレコード化の技術の違いが現れた結果であると考えるのが自然です。CDと違ってレコードのプレス技術であれば実際に起こり得ること。例えば「DIE BEATLES」ではマトリクス1/1ではなく、マトリクス2/2のプレスでフラットな音に、「BEATLEMANIA」は70年代再発のステレオ盤でフラットな音になっているのです。そういった差が生まれる、だからこそあれほどまでに中古LP市場においてマトリクス違いというのが過熱する訳です。いずれにせよ、これら二枚が現在のリマスターCDとは違ったウォーミーな味わいを楽しめるのは事実。ドイツ盤ファースト・アルバムとカナダ盤セカンド・アルバム、どちらにも共通するのは、非常にまろやかな、正にアナログ録音らしい質感です。逆に言うと「I Saw Her Standing There」や「I Wanna Be Your Man」といったアグレッシブな演奏では2009年リマスターの方がたっぷりとした迫力を感じられるでしょう。しかし「Anna (Go To Him)」におけるジョンの切々とした歌いっぷり、あるいは「Till There Was You」などは包まれるような温かみがこれらの盤で本当に素晴らしい。そして「DIE BEATLES」に関しては2004年に一度リリースされた後、2005年によりクリーンな状態でトレースしたアッパー版をリリースしており、今回はそちらを採用しているのが今回の大きなポイント。もちろん今回同時リリースのラム・モノと違ってミックスそのものが違う訳ではない。その点ではよりマニアックですし、いわゆる「別イコライズ」という範疇の音源です。そこでこれらのアルバムをカップリングしたお徳用、しかもお得なプライスのアイテムとしてのリリースであり、なおかつレアなドイツ盤とカナダ盤を簡単にプレイバック! THE BEATLES - DIE BEATLES (German Stereo LP : SHZE 117 Matrix A2/B2) & BEATLEMANIA! WITH THE BEATLES (Canadian Stereo LP : ST 6051 Wide Mix) (2CD) Die Beatles (German Stereo LP : SHZE 117 Matrix A2/B2) コンプレッサーの掛かっていないドイツ盤ステレオPlease Please Me、ピッチ調整済み(33:20) 1. I Saw Her Standing There 2. Misery 3. Anna (Go To Him) 4. Chains 5. Boys 6. Ask Me Why 7. Please Please Me 8. Love Me Do 9. P.S. I Love You 10. Baby It's You 11. Do You Want To Know A Secret 12. A Taste Of Honey 13. There's A Place 14. Twist And Shout BEATLEMANIA! WITH THE BEATLES (Canadian Stereo LP : ST 6051 Wide Mix) コンプレッサーの掛かっていないカナダ盤ステレオWith The Beatles (33:55) 1. It Won't Be Long 2. All I've Got To Do 3. All My Loving 4. Don't Bother Me 5. Little Child 6. Till There Was You 7. Please Mr. Postman 8. Roll Over Beethoven 9. Hold Me Tight 10. You Really Got A Hold On Me 11. I Wanna Be Your Man 12. Devil In Her Heart 13. Not A Second Time 14. Money

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