ロニー・ジェイムズ・ディオ時代の最終盤を象徴する大名盤がアップグレード登場です。その象徴盤とは「1978年7月2日シカゴ公演」。その極上オーディエンス・アルバムです。ロニー時代RAINBOWのライヴと言えば、大きく2つに分けられます。ステージデビューを飾った“ジミー・ベイン/トニー・カレイ時代”と“ボブ・デイズリー/デヴィッド・ストーン時代”。前者は公式/非公式を問わず無数のライヴアルバムが存在するわけですが、後者になると急に数が減る。公式化もされたプロショット『LIVE IN MUNICH 1977』や日本公演は充実しているものの、それ以外になると不思議なほど録音が少ないのです。特に稀少なのが最終盤となった1978年の北米ツアー。本作は、その“崩壊前夜”とも言うべきツアーを代表する名録音なのです。まずは、その“デイズリー/ストーン時代”の流れの中でショウのポジションを確認してみましょう。 【1977年】《7月7日『ON STAGE』発売》・9月25日-10月27日:欧州(24公演)・10月31日-11月22日:英国(17公演)【1978年】・1月11日-2月3日:日本(15公演)《4月9日『LONG LIVE ROCK 'N' ROLL』発売》・5月9日-8月15日:北米(59公演)←★ココ★ これがロニー時代の末期。『LONG LIVE ROCK 'N' ROLL』の発売後は約3ヶ月の北米ツアーだけが行われ、ロニーはRAINBOWを去ることになります。本作のシカゴ公演は、その34公演目にあたるコンサートでした。この録音は最終ツアーを代表するだけでなく、長らく「ロニー時代最後の録音」とも言われてきました。最近の調査では、その後の8月録音も見つかっていますが、それはあったというだけ。音楽アルバムとして楽しめる次元では、現在でも本作が最後なのです。そんなシカゴ録音は、以前からの大定番。特に2006年に登場した『FIRECRACKER』は、それまでの既発ではカットがあった「Blues」もシームレスに収録され、全体の時間も長い決定盤。「ロニー末期のベスト」として大人気。その後、2012年にも再発はありましたが、それもすぐに完売・廃盤となりました。本作もまた『FIRECRACKER』と同じマスターではあるのですが、最新・細心リマスタリングで磨き上げたもの。「ベスト」をさらに引き上げた頂点アルバムなのです。実際、本作のサウンドは『FIRECRACKER』とはだいぶ違う。もちろん、オリジナル・サウンドをムリヤリねじ曲げるような無粋なマネはしておらず、あくまでもナチュラルな鳴りを最大限に活かしている。一番の違いは、立体感です。オリジナル・マスターは音質こそ良かったものの、ステレオのバランスが少々崩れており、やや右チャンネルに偏っていた。本作では、弱かった左チャンネルのサウンドを音質そのものから補正しつつ、全体のバランスも調整。“現場で鳴っていたであろう自然な立体感”を再現したのです。もちろん、それ以外の微調整も行ってはいるものの、やはりステレオ感の効果はてきめん。単に正しいバランスになったという以上に“空間”が感じられる。既発タイトルの語源になった冒頭の爆竹の音も存在感を増しており、怒濤の「Kill The King」はリフの1つひとつまでリアル感増量で押し寄せ、ヒロイックなヴォーカルが空間を切り裂く。「Mistreated」中間部のソロも立体的だからこそ鮮やかに舞い、ロニーのヴォーカルインプロ「Night People」も空間の鳴りが感じられ、美しさが際立つ。こうしたポイントは“ロニー末期の旨み”として知られてきましたが、それらが一層リアルに感じられる。喩えるなら、まるで映画を3D上映で見直すような感覚なのです。そうして甦ったショウは、濃縮感も圧倒的。最後の北米ツアーはヘッドライナーも数公演はありましたが、ほとんどが前座。REO SPEEDWAGONやFOGHAT、ALICE COOPER、KANSASなど、日によってさまざまなバンドのサポートを務めました。本作のシカゴ公演の場合、ヘッドライナーはCHEAP TRICK。そのためにショートセットなわけですが、だからと言って手抜きナシ。フレーズの1つひとつはやる気に充ち満ちており、持ち時間の短さを逆手に取ったようにノンストップで連なる淀みなく溢れ出る。既発と同じように「Beethoven 9th」中盤でテープチェンジによるカットはありますが、それ以外は完全収録。濃厚なショウを終演のS.E.まで淀みなく浸りきれるのです。“ドラマティック・ロックの理想郷”を描きながら、短命のうちに崩壊したロニー時代のRAINBOW。その最後の輝きを伝える極上のライヴアルバムです。終末期だからこその濃厚な虹色世界に、立体感と存在感までもが宿った1枚。 Live at International Amphitheater, Chicago, IL. USA 2nd July 1978 PEREFCT SOUND(UPGRADE) (63:56) 1. Over The Rainbow 2. Kill The King 3. Mistreated 4. Long Live Rock 'n' Roll 5. Man On The Silver Mountain 6. Blues 7. Night People 8. Man On The Silver Mountain(Reprise) 9. Still I'm Sad 10. Beethoven 9th 11. David Stone Solo 12. Cozy Powell Solo feat. 1812 Overture 13. Still I'm Sad (Reprise) incl. Guitar Crash 14. Over The Rainbow Ritchie Blackmore - Guitar Ronnie James Dio - Vocal Cozy Powell – Drums Bob Daisley - Bass David Stone - Keyboards