インディー時代に苛烈なクラブショウを繰り返していたNIRVANA。その現場を刻んだ極上映像がリリース決定です。本作が撮影されたのは「1990年1月20日タコマ公演」。EP『BLEW』リリースの翌月であり、チャド・チャニング離脱の4ヶ月前というタイミング。まさにメジャーに打って出ようとする直前の一幕です。そんなショウを収めた本作は、クオリティも中身も特濃。種別としては「ワンカメのオーディエンス・ショット」になるわけですが、本作には“プロ”も“オーディエンス”も関係ない。実のところ、本作を撮影したのはバンドの関係者でして、クリス・ノヴォセリックのすぐ側のステージ脇から撮影している。そのため、目線は完全にバンドと同じ高さで、手を伸ばせば触れるほどの密着感で捉えられている。しかも、映像も音声も最高に美しい。時代柄ビデオ撮影になるわけですが、1stジェネ・マスターからダイレクトにデジタル化されており、経年劣化もダビング劣化もほとんど観られない。ノイズもなければ歪みもなく艶やかで発色もビビッドな映像美なのです。もちろん、音声も最高にクリア。ステージ脇という不自然な撮影位置だけにバランスは理想的とは言い難いものの、それが関係者ポジションのムード満点。逆に言えば、関係者だからこそのクリアさもすごい。客席の凄まじい混沌は画面からもハッキリ分かるのですが、本作はそれをステージから高みの見物できる位置。混沌の騒音がまったく入らず、すぐそばのPAサウンドをダイレクトに安定して吸い込んでいる。曲間になるどと物騒なほどの騒音が押し寄せるのですが、ひとたびギターが鳴れば、それらが全部かき消され、NIRVANAの凄まじい轟音芸術が歪みもせずに美しく記録されているのです。そんな絶品の関係者クオリティで描かれるのは、今まさに吹き出さんとするマグマの如きクラブシーンの熱気。NIRVANA自身はメジャーデビュー後と変わらないスタイルなものの、現場に集う連中はまったく違う。ちょっとでも客席が映れば人が飛び、鳴門海峡のように渦を巻く。ステージ前にはセキュリティが1列に壁を作り、その防波堤を破ろうと黒い津波がぶつかってくるのです。その中で一際大暴れしているのが誰あろうMUDHONEYのマット・ルーキン。何度も何度もステージに飛び上がってはセキュリティとバトルを繰り広げるのです。そんな物々しいムードはステージ上のNIRVANAも刺々しく巻き込む。激しいカートのヘドバンは常軌を逸し、歌声のやけっぱち感はいつも異常。その凄味は全曲でたっぷりと叩きつけられるのですが、特にヤバそうなムードになるのは「Scoff」の後。会場で観客同士(?)が喧嘩を始め、ライヴどころではなくなってしまう。カートも「おいおい、止めろよ」とでも言っているようですし、現場は限度を超えて騒然。そんな雰囲気を和らげようというのか、クリスもビートルズの「All You Need Is Love」や「If I Fell」を歌い出す。正直なところ、酔っ払いが路上で歌っているような出来だったりもするものの、その無理矢理にトボけたムードさえもがヒリヒリとしてリアルなのです。とにかく激烈な音楽と苛烈なムード。まさにマグマです。世界を席巻し、塗り替えてしまう怒りと不満のカオスが狭いクラブに濃縮された空間。その熱気を関係者視点で超クリアに味わえる希代の歴史的映像です。90年代の入り口で、ロックが再びエネルギーの音楽となった刹那。 Live at Legends, Tacoma, WA. USA 20th January 1990 1. School 2. Floyd The Barber 3. Love Buzz 4. Dive 5. Scoff 6. All You Need Is Love / Krist solo 7. If I Fell 8. About A Girl 9. Big Cheese 10. Mollys Lips 11. Token Eastern Song 12. Spank Thru 13. Breed 14. Stain 15. Been A Son 16. Sweet Home Alabama (Lynyrd Skynyrd) 17. Negative Creep 18. Blew Kurt Cobain - Guitar, Vocals Krist Novoselic - Bass Chad Channing - Drums COLOUR NTSC Approx.54min.









