オアシス解散後、初のソロ・アルバム「AS YOU WERE」が大ヒットを記録したのを受け、昨年からツアーを続行中のリアム・ギャラガー。3月は有名なフェスティバル「ロラパルーザ」の南米版に参加。ところが好評に次ぐ好評で続けられていたツアーもハード・スケジュールが祟ったのか、3月18日のチリでは声の不調を訴えショー開始からわずか四曲を歌ったところで打ち切りというハプニングが起きてしまいました。先月のロラパルーザ南米版は複数のショーが放送されており、今回のリリースは問題のチリのステージだけでなく、前後で放送された映像までも完璧な画質で網羅した贅沢なプロショット映像パッケージとしてまとめました。まず一枚目に収録されているのが17日のアルゼンチン公演。リアムは気合十分でステージに挑んでいる様子が捉えられてはいるものの、チリの一件の際に公表された、南米ツアー前から患っていたという肺の感染症の影響と思しき声の伸びの悪さが徐々に見え隠れしてきます。それが露わとなってしまったのが「AS YOU WERE」における代表曲の一つとなった「For What It's Worth」。ここでのリアムは本当に苦しそうで、正に翌日を予見させるかのような不調ぶりが伝わってきます。 ところが驚いたことに「Some Might Say」は何とか歌い終えているのです。オアシス時代ですら2000年を皮切りにライブで歌われなくなり、2002年になって復活した際はキーを下げて歌われたという曰く付きのオアシス・ナンバー。ところが昨年の秋のツアーから、まさかのオリジナル・キーでのレパートリー復活で世界中のファンを驚かされました。先の理由から2005年から2009年辺りのオアシス後期ではまったく歌えなくなってしまった曲を今のリアムが頑張って歌い切ってみせる。ファンに受けるオアシス・ナンバーというだけに留まらない、むしろリアム自身としても、ここまで自分の声が持ち直してきたという自信をアピールしたいのかもしれません。 さらにこの日のライブ映像が素晴らしいのは、南米のオーディエンスらしい熱狂的な盛り上がり。それはライブ序盤から圧倒的で、リアムをして「お前らは宇宙一のオーディエンス」と絶賛するほどでした。そうした盛り上がりにも支えられ、あきらかに声の調子にムラのあるリアムが自身の変調に気付きながらも、腐ることなく何とか最後までライブをやり終えたのでしょう。フィナーレ・ナンバーの「Live Forever」は昨年の来日公演など、当初はアコースティック・ギターとパーカッションという素朴な雰囲気で演奏されていましたが、今年に入ってからはギタリストがエレキに持ち替えたアレンジへと変化。こちらの方がいい感じにステージ映えします。しかもここでのリアムの熱唱は素晴らしく、ギタリストが途中でコードを弾き違えるという凡ミスもまったく気に留めずに歌い上げたのでした。 二枚目はチリの失態から一週間後に行われたブラジル公演。この日はトリを務めたキラーズのステージにゴキゲンのリアムが飛び入りしたことで話題を呼びましたが、それもそのはず、アルゼンチンやチリとは比べ物にならい程の快演を自身のステージで披露してみせたのです。オープニングの「Rock 'n' Roll Star」からしてリアムの声は絶好調ですし、アルゼンチンで痛々しかった「For What It's Worth」などもはや雲泥の差。昨年から始まったソロ・ツアーは時期ごとにセットリストが変化しているのも大きな魅力で、当店が以前ギフト・リリースした9月のハンブルク公演の時点で演奏されていた「AS YOU WERE」収録曲のいくつかが現在は先の「Some Might Say」といったオアシス・ナンバーに取って代わられています。さらにアルバム・リリース前に行われた来日公演で演奏されていた「Eh La」や「Chinatown」といった曲はハンブルクの時点で姿を消していました。今となっては来日公演のセットリストが非常に貴重な構成だったのですが、ここブラジルでは「You Better Run」とオアシスの「Slide Away」がカットされた代わりに「AS YOU WERE」から「I Get By」が演奏されているというのも魅力かと。この日のステージですが、全体を通して何しろリアムが絶好調ですので、2018年ソロ・ステージの定番映像となることは間違いありません。2005年のオアシス時代のステージでかなりいびつな声に堕ちてしまったリアムが2009年のオアシス末期でなんとか踏みとどまり、ビーディ・アイから復活を遂げた歌声のさらなる進化がここに捉えられている。それを裏付けるように、昨年の来日公演では「オアシス後期より声が出ていた」という証言が多数聞かれました。 そして二枚目のディスクには問題のチリ公演を収録。ショー開始直後はアルゼンチンと比べてそんなに変わらない調子に映るのですが、「Wall of Glass」にきて急激に調子が悪くなった様子がはっきり捉えられています。リアムは昨年8月の本家ロラパルーザでも20分でショーを切り上げるという前科あったのですが、その時と違って歌うのを途中で止めて一旦は引っ込んでおきながらも、演奏が終わると再び登場して「声の調子が悪くて歌えない、申し訳ないがこれ以上続けて君たちの時間を無駄にするわけにはいかない」と詫びてステージを後にしています。二枚目メインのブラジルでも改めてチリの件に関して「すまなかった」とショーの序盤で釈明していますし、リアムも大人になったものですね(笑)。だからこそブラジルで体調を取り戻し、なおかつ気合を入れ直した結果があのような快演につながったのでしょう。このように不調が忍び寄るアルゼンチン、絶不調のチリ、そして回復からの名唱ブラジルといった具合に、見事にコンディション三段階のリアムを捉えたクリスタル・クリアーなプロショット映像のお得なセット。シンガーが率いるバンドということから、ビーディ・アイの時以上にバンド・メンバーのインタープレイやソロを排し、一気に観れてしまう極上の歌モノ・ロックと呼びたい現在のリアム。それと同時に、日によって雰囲気が違うというライブならではの楽しさを今も実践してくれる彼のライブの魅力がたっぷり詰まっています。 Hipodromo de San Isidro, Buenos Aires, Argentina 17th March 2018 PRO-SHOT Parque O'Higgins, Santiago, Chile 18th March 2018 PRO-SHOT Autodromo de Interlagos, Sao Paulo, Brazil 25th March 2018 PRO-SHOT Disc 1(62:13) Lollapalooza Argentina Hipodromo de San Isidro, Buenos Aires, Argentina 17th March 2018 1. Intro. 2. Rock 'n' Roll Star 3. Morning Glory 4. Greedy Soul 5. Wall of Glass 6. Bold 7. For What It's Worth 8. Some Might Say 9. Slide Away 10. You Better Run 11. Be Here Now 12. Wonderwall 13. Supersonic 14. Cigarettes & Alcohol 15. Live Forever Disc 2(73:00) Lollapalooza Brasil Autodromo de Interlagos, Sao Paulo, Brazil 25th March 2018 1. Intro. 2. Rock 'n' Roll Star 3. Morning Glory 4. Greedy Soul 5. Wall of Glass 6. Bold 7. For What It's Worth 8. Some Might Say 9. I Get By 10. Be Here Now 11. Wonderwall 12. Supersonic 13. Cigarettes & Alcohol 14. Live Forever Lollapalooza Chile Parque O'Higgins, Santiago, Chile 18th March 2018 15. Rock 'n' Roll Star 16. Morning Glory 17. Greedy Soul 18. Wall of Glass PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.135min.









