THE FIRMの貴重で珍しいジャムアルバムの登場です。本作が録音されたのは、「1985年6月20日ロンドンNomis Studios」。音源の詳細は明らかになっていませんが、同年5月までデビューアルバムに伴うツアーを行っていましたから、セカンドアルバムに備えたリハーサル・セッションだと思われます。そのセッションをスタジオ録音で記録したのが、本作。ポール・ロジャースこそ参加していませんが、ジミー・ペイジ、トニー・フランクリン、クリス・スレイドの3人が自在にジャミングしている。そのサウンドはまさにスタジオ内に同席しているようなダイレクト感と密室感にあふれ、さまざまに化粧されたスタジオアルバムやライヴとは、まったく違う生々しさが鮮烈です。関係者がプレイバック用に録音したカセットをマスターにしており、音質はまさに「完璧」です。そして、ジャムの濃さがまた素晴らしい。「ペイジ&ロジャースの合体」でロックシーンに衝撃を振りまいたTHE FIRMですが、トニー・フラクンリン&クリス・スレイドも名手中の名手。このジャムでは、その2人の手腕とセンスがビビッドに伝わってくる。特に素晴らしいのは、フレットレス・ベースを魔術のように操るフランクリン。どんなテンポ、キーでも独特なフレージングを絶え間なく繰り出し、ペイジが弾き出すリフ、フレーズと自在に絡んで不可思議な世界を作り出していくのです。一方のクリス・スレイドも負けてはいない。60年代初期のトム・ジョーンズから後のAC/DCまで、多彩なキャリアに裏打ちされたグルーヴは非常に豊かで鮮やか。パワーヒッターでありながら、変幻自在のジャムに色合い加えていく様は、コージー・パウエルやカーマイン・アピス辺りと並び称されてもおかしくない。ペイジ&ロジャースであれば、どんなドラマーであろうと選び放題だったはずで、その中で実際にバンドメイトとして選ばれたのも納得のドラミングです。世界中のファンがボンゾの面影を求めるであろう難しいポジションであり、その点ではさすがに分が悪かったようですが……。ともあれ、3人の名手による、聴いているだけで心地良くなってくる豊かなジャムがたっぷりとつまった2枚組です。それこそ、楽器を通して3人が会話しているようなリアリティが満載。スタジオに同席した気分になるのも良いですが、いっそ、本作をスタジオに持ち込み、楽器片手に大音量でエンドレス再生してジャムに参加したくなってくる1本です。もちろん、「あの曲のリフが!」「このメロディはあのライヴの……」といった分析も聴き方のひとつではありますが、ひたすら気持ちいいグルーヴとジャムを徹底的に繰り広げてくれるのですから、ただのスタジオ観客だなんてもったいない。伝説の3人と一緒にジャムってみるのはいかがでしょう。本作は、それができるほどに豊かで、密着感にあふれた1本なのです。 Nomis Studios, London, UK 20th June 1985 STUDIO RECORDING Disc 1(46:28) Jam 1 Jam 2 Jam 3 Jam 4 Jam 5 Disc 2(45:59) Jam 6 Jam 7 Jimmy Page - Guitar Tony Franklin - Bass Chris Slade – Drums









