バンド結成の1969年から現在の2014年にいたるまで、BLACK SABBATHの歴史は45年にも及びます。その間はまさに山あり谷あり。バンドが危機に瀕したのは一度や二度ではありません。それら数あるピンチのうち、バンドが「最も大きな混乱」の渦中にあったのは、間違いなく’84年から’85年。イアン・ギラン脱退後から、トニー・アイオミが 「SEVENTH STAR」で新たなスタートを切った’86年までの期間でしょう。この期間、アイオミやギーザーは、新たなシンガーを迎えてバンド再建を図ったり、各々ソロ活動を模索するなど、当時のサバスはまさに激動の真っ只中。その’84年から’85年にかけてアイオミとギーザーが、ジェフ・フェンホルトという同一シンガーで製作した貴重なデモ音源の数々を網羅し、不明な点が多かった「大混乱期のサバス」を浮き彫りにしたのが本作『THE BATTLE OF THE DEMOS 1985』です。本作でメインに収録されているのは、トニー・アイオミがソロアルバムの下敷きとして製作した11曲のデモ音源。これらは最終的に現在私たちが知っている『SEVENTH STAR』となりますが、この時点ではジェフ・フェンホルトが、歌詞やメロディが大きく違うバージョンを歌っています。メインで聴ける楽曲は5曲・8トラック。「Seventh Star」となる「Star Of India」に、名バラード「No Stranger To Love」の原型「Take My Heart」、「Turn To Stone」の原曲である「Eye Of The Storm」を、演奏もアレンジも異なる2つのバージョンで収めています。さらに「Heart Like A Wheel」のプロトタイプ「Love On The Line」、「Danger Zone」の初期型である「Chance Of Love」も確かなクオリティで楽しめます。ここで聴ける楽曲の数々は、どれも’80年代中期らしいメロディックで高品質なメタル・ナンバー。「知っているようで、実は未体験」・「何度も聴いた楽曲の、異なるもうひとつの姿」は、「これぞデモ音源」の面白さに満ちています。加えてトラック9からトラック11にかけては、同一メンバーによるリハーサル・セッション(トラック11は歌入り)を、さらに3トラック収録しています。これら楽曲でジェフ・フェンホルトが披露するパフォーマンスは驚きの一言。彼はブロードウェイ・ミュージカル『JESUS CHRIST SUPERSTAR』のキャリアを持つ異色のロック・シンガーで、クリーンかつ力強い見事な歌唱を聴かせます。リズムセクションはLITA FORDから協力したゴードン・コープリー(ベース)とエリック・シンガー(ドラム)。デモとはいえ、まとまりのあるバンド・サウンドが、楽曲をより魅力的なものとしています(アイオミのギターとキーボードのジェフ・ニコルズはもちろんご存知の通りです)。既発で知られているテイクもありますが、本音源のより高いマスター鮮度は魅力的です。またきちんと整理された曲目も、聴き手により深いエンターテイメントと時代背景への理解をもたらしてくれるでしょう。本作の後半、トラック12から16にかけてはギーザー・バトラーのデモを3曲・5トラック収録しています。これらは海外で『SEVENTH STAR』デモの一部として登場した際に「正体不明の偽物」とされていましたが、後に登場したギーザーの’85年ライヴで演奏が確認され、アイオミのソロ曲ではなく”GEEZER BUTLER BANDのデモ”と判明した音源です。ここでギターを弾いているペドロ・ハウス(ギーザーの甥)は、その後もギーザーのソロ・プロジェクトに参加しており、マニアならばご存知でしょう。その他のメンバーは全く異なり、ドラムは同時期のGARY MOOREでプレイしていたゲイリー・ファーガソン、キーボードは(マニアには懐かしい)サバスの初代キーボーディストであるジェラルド・ウッドルフがプレイしています。そして最もマニアを驚かせたのが、アイオミと同じくジェフ・フェンホルトをシンガーに起用している点。ギーザー・バトラーというと、オジーとの活動や’90年代以降のソロ活動で「ヘヴィ&ドゥーミー」な印象が先行しますが、本音源では意外なほどメロディアスでポップな、ある意味AORに通じるサウンドを展開しており、その意外性が何よりも驚きです。最初の「Lock Myself Away」に、それぞれ2テイクある「Don’t Turn Away」・「Love Has No Mercy」も、フェンホルトの歌声は完全にマッチしています。アイオミのデモと比べ曲数的に少ないのが残念ですが、聴き手に大きなショックとインパクトを与える、重大な5トラックだと断言します!本作ではさらに衝撃的なトラックがラストで登場! イアン・ギランが脱退した’84年、彼の後任としてサバスに正式採用されたデイヴ・ドナートが歌うデモ音源「No Way Out」です。ここではアイオミとギーザー,キーボードのジェフ・ニコルズとシンガーのドナートに加え、オリジナル・ドラマーのビル・ワードが参加しています。しかも曲は(歌詞・メロディ違いとは言え)トニー・マーティン時代の名曲「The Shining」なのです! オリジナル・メンバー3人の演奏、ドナートが歌う唯一の楽曲、それが「The Shining」のプロトタイプと、同曲はまさに驚きの三重奏です!ここで聴ける「No Way Out」に、今回のCDで初登場した歌詞違いの初期テイク、さらに『THE ETERNAL IDOL: RAY GILLEN MIX』収録のバージョンと聴き進めれば、名曲「The Shining」誕生の過程が、より細やかなでティールで浮かび上がる事でしょう!同じくBLACK SABBATHの中心人物でありながら、本作ではアイオミとギーザーで異なる楽曲へのアプローチを、ひとりのシンガーで明確に浮かび上がらせています。サバスが事実上崩壊していた’84年から’86年、『BORN AGAIN』と『SEVENTH STAR』の間に位置するミッシング・リンクを75分間にわたり解き明かした本作は、全てのSABBATHマニアにとって必要欠くべからざる第一級の資料音源。 Tony Iommi Vs. Geezer Butler featuring Jeff Fenholt STEREO SBD TONY IOMMI DEMOS (1985) 1. Star Of India #1 (Seventh Star) 2. Star Of India #2 (Seventh Star) 3. Take My Heart #1 (No Stranger To Love) 4. Take My Heart #2 (No Stranger To Love) 5. Eye Of The Storm #1 (Turn To Stone) 6. Eye Of The Storm #2 (Turn To Stone) 7. Love On The Line (Heart Like A Wheel) 8. Chance Of Love (Danger Zone) 9. UnKnown Instrumental #1 10. UnKnown Instrumental #2 11. Unknown Song Tony Iommi – Guitar / Jeff Fenholt – Vocal / Gordon Copley – Bass / Eric Singer – Drums / Geoff Nicholls – Keyboards & Backing Vocals THE GEEZER BUTLER BAND DEMOS (1985) 12. Lock Myself Away (Can’t Stand Much Longer) 13. Don’t Turn Away #1 (Patrol) 14. Don’t Turn Away #2 (Patrol) 15. Love Has No Mercy #1 (I’m Leaving) 16. Love Has No Mercy #2 (I’m Leaving) Geezer Butler – Bass / Jeff Fenholt – Vocal / Pedro Howse – Guitar / Gary Ferguson – Drums / Gerald Woodroffe – Keyboards BONUS TRACK – BLACK SABBATH (1984) 17. No Way Out (The Shining) Tony Iommi – Guitar / Dave Donato – Vocal / Geezer Butler – Bass / Bill Ward – Drums / Geoff Nicholls – Keyboards









