海外フロイド・ネットワーク『EMBRYO』企画・製作によるレアリティー・コレクション・シリーズ。今回は『アニマルズ』に続いて、同様に完全初登場となる、『炎~あなたがここにいてほしい』の、貴重なスタジオ・デモテイクをコンパイルしたレア・コレクターズ・エディション。コアなフロイド・ファンからは世界中で大きな反響を呼んでいる好評シリーズより、ネット公開されるや世界中で大きな反響を呼んだ、『アニマルズ』に続いて、なんと『炎~あなたがここにいてほしい』のデモ・セッションも、関係者流出によるマスター・クオリティー・サウンドボード・ソースにて登場。1975年1月から7月にかけて、アビー・ロード・スタジオで、ツアーの合間に行なわれたベーシック・デモ・トラックのレコーディングは、やはりいずれもこの後の公式レコーディングとはかなり違ったもので、まずオフィシャルではアルバムの各サイド別々に分断されて収録された「狂ったダイヤモンド」は、リマスター・ボックスにも収録されなかった完全初登場のソースで、ここではなんとpart.1から、part.8まで区切られることなくノンストップで演奏が続く、初期バージョンとなるもの。 まずそのpart.1はフェードインではなく、テープの頭から聴くことが出来るため、ワイン・グラスの音とEMS VCS3シンセ/Arp Solina/ハモンドオルガンを重ねているのがしっかり聞き取れ、続くリックのミニムーグによる演奏はオフィシャル同様ながら、ギルモアのブルージーなソロはまだ未収録。そしてpart.2はバックでうっすらと鳴るシンセにギターのアルペジオが被っていたところなども、ここではクロスフェードはせず、一旦明らかな繋ぎを確認。さらにpart.4もまだボーカルのオーバー・ダブが途中の状態で、女性のバック・コーラスもナシ。Part.5もディック・パリーのサックスや、風のSEもなく、ノーカットでpart.6へつながるため、74年のウインタ・ツアーのライブ・バージョンが、そのままスタジオ・テイクになったかのよう。あとpart.7もオフィシャル以上に、ロジャーのボーカルが前面に出ているので、雰囲気が変わっており、最後のpart.8はファンク風のジャム・セッションが続き、part.9につながること無くフェードアウトとするという全くの別もの。 そして「Welcome To The Machine」のデモ・バージョンも、VCS3のシンセによる単調なリズムをバックに、ロジャーの抑揚のない、淡々としたボーカルが入り、まるで後の『THE WALL』のデモ音源を彷彿させるもので、さらにオフィシャルではボツになった、ギルモアのトーキング・モジュレーターを使用したプレイも必聴。続く「Have A Cigar」はロジャーとギルモアのボーカルによるデュエット・バージョンで、最後もフェード・アウトせず演奏終了までしっかり聴ける点もポイント。そして最大の聞きどころはオリジナル・ヴァージョンとなる最後の「あなたがここにいてほしい」で、なんとここでは、ゲストにジャズ・バイオリニストのステファン・グラッペリが参加したテイクを収録。たまたま向かいのスタジオにいたグラッペリが加わりセッションとなったもので、しかも曲の中間部ではバイオリン・ソロを弾きまくっており、エンディングもまたソロが入るので、オフィシャルより長めとなっているというもの。そしてバイオリンが入ることで、哀愁深いサウンドがさらに良い雰囲気を造り出していて、何故、こちらを採用しなかったのかと思えるほど。数あるフロイドのコレクターズ音源の中でも、重要性やレア度、そしてクオリティーまで、『アニマルズ』のディフィニティヴ・エデション同様、マスターピースとなり得る、トータル42分に及ぶ、ファン必携アイテム。(1CD) 1. Shine On You Crazy Diamond (part.1-part.8)/2. Welcome To The Machine/3. Have A Cigar/4. Wish You Were Here (with Stephane Grapelli) [Wish You Were Here Studio Demos at Abbey Road Studio London,UK January - July 1975 : Soundboard Recording]