「YESのブートレッグが聴きたい」……最初にそう思った時のことを覚えていらっしゃいますか? もう何十年も前に抱いたあの憧れやワクワクがフラッシュバックしてくる超決定盤4CDが登場です! アングラ音源に手を出すキッカケは人それぞれですが、YESの場合「ブラフォード/ウェイクマン時代」と並んで多いのが「モラーツ時代を聴きたいから」という方。あの強烈な「リレイヤー」を生み出したバンドが、ステージではどんな音を轟かせていたんだろう……当時のNHK放送や「YESSHOWS」など、一端を垣間見ただけでも心が震えるパフォーマンス。ところが、公式リリースされるのは豪快に音が乱れる「LIVE ? 1975 AT Q.P.R.」や、つまみ食いの「THE WORD IS LIVE」ばかり。待てども待てどもモヤモヤばかりが募る歴史が、ブートレッグに走るファンを産み続けてきたのです。そう、本作はそのパトリック・モラーツ時代YESの超定番FM音源を完全収録した逸品中の逸品。ディスク1・2は「1974年12月11日ボストン・ガーデン公演」、ディスク3・4には「1976年6月17日ルーズベルト・スタジアム公演」の放送局マスターを収録しました。リレイヤー YES初期と後期の“頂点だけ”を贅沢にカップリングした究極の4枚組です!ディスク1・2の「ボストン・ガーデン公演」は、何十種ものブートレッグを生んだ大定番。数年前にDJまで完全収録した「ELECTRIC FREEDOM」が既発を一掃しましたが、あの名作と同じマスターを再度リマスターしました。過剰入力寸前のド迫力サウンドが“リレイヤー YES”の真価を見事に伝えていましたが、今回は瞬間的にオーバーピークになっている高音を1音ずつ丁寧にトリートメント。迫力はそのままに、さらに聴きやすさを加味しました。それにしても、こうして聴き直すほどに本当に惚れ惚れしてしまいます。天からハーモニーが降り注ぐようなYESサウンドに、リック・ウェイクマンよりもキース・エマーソンに近いモラーツの切っ先鋭いニュアンスが加わったライヴ。1974年11月に始まった“Relayer Tour”も1ヶ月ほど経ち、バンドもほどよく暖まりつつ、まだまだ疲れは見せない丁度いいタイミング。さすが、専門誌から「70年代最高の演奏」と称された名演中の名演です。ショウの構成は「リレイヤー」と「危機」を流れよく組み合わせていますが、凄まじかった「リレイヤー」の3曲はさらにアグレッシヴさを増し、「Close To The Edge」「And You And I」も華麗なリックとは異なり、「リレイヤー」色に染め変わっている。YESというと、キッチリと弾きこなすイメージですが、この時代は演奏の迫力そのもので押しまくるロックらしいダイナミズムが溢れている。スティーヴ・ハウ/クリス・スクワイアの両巨頭も、モラーツに引っぱられるどころか、凌駕する勢いです。モラーツは「加入した時には『リレイヤー』の曲はすべて書き上がっていた」と語っていますが、それでも「リレイヤー」は従来とは違っていた。つまり、70年代のYESは最後に施される各人のアレンジメントや演奏がモノを言うバンドだったわけです。そう、「Siberian Khatru」こそありませんが、ディスク1で聴けるのはモラーツと彼に触発されたYESの情熱が溢れかえった“RELAYERバージョンの「危機」”でもあるのです!その「Siberian Khatru」で幕を開けるのがディスク3・4の「ルーズベルト・スタジアム公演」。各人のソロ作リリースを挟んだ1976年の“Solo Album Tour”で、やはりツアー開始から約1ヶ月のステージ。こちらもDJまで完全収録しており、サウンドはディスク1よりさらに端正。公式リリースも可能なレベルです。サウンドは端正でも、演奏はやはり爆裂。出だしから強烈な「Siberian Khatru」「Sound Chaser」の2連発! ただでさえハイテンションな両曲を数秒の曲間で畳み掛け、まるで20分19秒の組曲のよう。最高のオープニングです。その後も、いつになく好き勝手・やりたい放題なフレーズの応酬。それがアンサンブルの破綻に向かわず、ダイナミズムに繋がっているのだから凄い。しかも、その源泉になっているのがハードロック調のパワーではなく、ジャジーなインプロ感覚というのがたまらない。イタリアのAREAもかくやの熱いパッションです!その後も「ボストン・ガーデン公演」にはない「I've Seen All Good People」「Long Distance Runaround」やソロタイムを繋ぎつつ、「Heart Of The Sunrise」「Ritual」の大曲へと雪崩れ込む。“モラーツ版Heart Of The Sunrise”は「LIVE ? 1975 AT Q.P.R.」でも聴けない本作のポイントですが、それ以上にショウの流れ自体が美味しい。ディスク1・2は「危機」+「リレイヤー」といった豪快な構成でしたが、こちらは言わば「こわれもの」風の流れ。この2公演は、単に最高音質のカップリングというだけでなく、互いに補完し合って“リレイヤーYES”の旨みを隅々まで味わわせてくれるセットなのです。3時間23分に渡ってタップリと“リレイヤーYES”を堪能できる頂点タイトルです。基本中の基本は、最後に辿り着くゴールでもある。そう、この音が聴きたくて私たちはブートレッグの世界へ足を踏み入れたのでした。5桁のアナログを前にタメ息をついたあの光景、1枚1枚、ワクワクと祈りがない交ぜになった気持ちでプレイヤーに乗せた日々。まだ無垢だったあの頃の自分に「お前が聴きたかったのはコレだろ?」と差し出してやりたい、大名録音の復活です!! Boston Garden, Boston, MA. USA 11th December 1974 STEREO SBD(UPGRADE) Roosevelt Stadium, Jersey City, NJ. USA 17th June 1976 STEREO SBD(UPGRADE) Live at Boston Garden, Boston, MA. USA 11th December 1974 Disc 1 (41:24) 1. DJ Intro 2. Firebird Suite 3. Sound Chaser 4. Close To The Edge 5. To Be Over Disc 2 (41:13) 1. The Gates Of Delirium 2. And You And I 3. Roundabout 4. DJ Outro Live at Roosevelt Stadium, Jersey City, NJ. USA 17th June 1976 Disc 3 (52:35) 1. DJ Intro 2. Apocalypse Intro 3. Siberian Khatru 4. Sound Chaser 5. I've Seen All Good People 6. The Gates Of Delirium Disc 4 (68:40) 1. Long Distance Runaround 2. Patrick Moraz Solo 3. Clap 4. Excerpt From Olias 5. Heart Of The Sunrise 6. Ritual (Nous Sommes Du Soleil) 7. DJ chatter 8. Roundabout 9. DJ chatter 10. I'm Down 11. DJ Outro Jon Anderson - Vocals Steve Howe - Guitars, Vocals Chris Squire - Bass, Vocals Patrick Moraz - Keyboards Alan White - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING