第2集は、WINGS全盛期の『VENUS AND MARS』『WINGS AT THE SPEED OF SOUND』期の音源を中心とした『LONDON TOWN』までの時期をカヴァーした充実の内容で、Abbey Road Studioの敷地内(屋外)でレコーディングされ、断片的に映像も公開されている通称“The Backyard Tape”のダイジェストからスタートします。ポールのアコギ巧者としての側面がよく表れた好音源。曲間ではニール・ヤングの「Down By The River」(?)のようなフレーズや、1997年に『Flaming Pie』で正式にリリースされた「Great Day」を爪弾いたりしてます(歌はなし)。『Venus And Mars』のセッションからは、アルバムのラフ・ミックスにも採用されていないものの、ポールのテンションが高く7分にも及ぶ「Rock Show」のアウトテイク、初期のラフ・ミックスからオーバーダブを加えていく前のベーシック・トラックに近い(リリース・ヴァージョンとの違いが顕著な)楽曲を数曲、比較として「Treat Her Gently / Lonely Old People」のセッション後半のラフ・ミックスを収録。このミックスもリリース・ヴァージョンとは少し違い、ギターが全編に渡ってフィーチャーされているのが特徴です。「Ou Est Le Soleil」は95年にラジオ番組「Oobu Joobu」で公開された、この時期に録音されていたという、ポールの娘達のコーラスが微笑ましいデモ。DISC1後半は2010年にまとまって出回った『WINGS AT THE SPEED OF SOUND』のラフ・ミックスを収録。ホーンをオーバーダブする前の「Silly Love Songs」、全く異なるパワフルなオルタネイト・ヴォーカルの「Beware My Love」、ポールがヴォーカルをとる「Must Do Something About It」といった驚きの音源が目白押しで、既に人気の音源となっていますが、コアなファンに人気の「She’s My Baby」ではリフレイン部分のアドリブっぽいヴォーカルは後から加えたものであることなど、ハッとさせられる瞬間も多い音源で、その人気もうなずけます。このラフ・ミックスで顕著だった強烈なヒス・ノイズはStrange Apple独自のリマスターを施し、可能な限り抑えてあります。元の音源を分解することなく、2トラックEQのみで補正してありますので、元音源と比べるとモコモコしてはいますが、出来るだけ違和感のない音に仕上げてありますので是非聴き比べてみて頂けたらと思います。ラストは95年時のメイン・テーマに比べるとムーディーなアレンジですが、76年に既にアイデアを録音していたことにびっくりしてしまう、「Oobu Joobu」のテーマの原型。DISC2の冒頭は、76年夏のデモ。「Super Big Heatwave」とコールされていますが、『Back To The Egg』でリリースされる「Old Siam Sir」のプロトタイプ。印象的なリフ、終盤には歌詞までもほぼ完成していることがわかります。冒頭の“This Is It”という語りはリリース・ヴァージョンでは「Old Siam Sir」ではなく「Spin It On」に引き継がれています。続く「Suicide」は77年の録音。ファースト・ソロ・アルバム『McCartney』に断片がほんのちょっと収録されているほか、THE BEATLES時代を含め、最近まで数多くの演奏が残されている同曲ですが、中でも最も出来がいいのではないかと思われる、この77年のヴァージョンを収録。「Love Awake」も77年の録音で、これまた『Back To The Egg』で発表されるナンバー。この時点でデモがこうして録音されていたことは95年にラジオ番組「Oobu Joobu」で公開されたこの音源で明らかになりました。「Sea Melody」「A Fairly Tale」は、『London Town』のレコーディング中に子供達と一緒に録音した音源で、ポールのいいお父さんっぷりが微笑ましい、素晴らしい音源。「Sea Melody」は後に、未発表に終わったアニメ“Rupert and the Frog Song”のサウンドトラック用に正式に録音された楽曲群に含まれており(そのダイジェストはこのDISCの終盤に収録)、このタイトルで呼ばれていますが、97年発表の交響詩『Standing Stone』の第4楽章において「Celebration」としてこのメロディを発展したものをリリースしています。「Backwards Traveller」は簡素なデモながら、リリース・ヴァージョンでは割愛された部分も聴ける、この曲のオリジナル・ヴァージョンと言うべきもの。「After You've Gone」はカバーで、数多くのジャズ・アーティストから、最近ではFiona Appleなども取り上げている曲。ポールのオリジナルかと思うようなアレンジ。「I'm Carrying」からの4曲はオーバーダブ前のラフ・ミックス。「I'm Carrying」以外は、印象が大きく異なるテイクで聴きものです。「Mull of Kintyre」はカウント付きのラフ・ミックス。「Did We Meet Somewhere Before?」は映画「Rock'n'roll High School」に提供された楽曲ながら、音盤化はされなかったバラード。「Same Time Next Year」 は90年にシングルのカップリングとしてリリースされましたが、レコーディングは78年。「It Seems Like Old Time」は、『Tug Of War』直前のスタジオ・デモも存在する曲ですが、公式には未発表のナンバー。「SMA」は95年にラジオ番組「Oobu Joobu」で公開された、長女のヘザーをリード・ヴォーカル据えレコーディングしたパンキッシュなナンバー。「Rupert Song (Version 1)」以降は、アニメ“Rupert and the Frog Song”のサウンドトラック用に78年に当時のWINGSのメンバーで正式に録音されたものの、結局お蔵入りしてしまった音源のダイジェスト。元がアセテートということもあり、ノイズの入る音源でしたが、ここではノイズを抑えて収録しています。「The Castle Of The King Of The Birds」はTHE BEATLES時代に69年のGET BACK SESSIONで既に演奏しており、「Sunshine Sometime」は本シリーズの「1」のDISC1の4曲目に、『Ram』のセッション中に録音したインストのテイクが収録されています。「Sea Melody」はこのDISCの4曲目にデモが収録されています。「Rupert Song」は(Version 1) (Version 2)ともに、ポールらしい綺麗なメロディのバラードで、未聴の方は是非!! DISC:1(1974-1976) 01.Country Dreamer (The Backyard Tape) 02.Twenty Flight Rock (The Backyard Tape) 03.Down By The River?Great Day (The Backyard Tape)04.Sweet Little Sixteen (The Backyard Tape) 05.Rock Show (Outtake) 06.Letting Go (Rough Mix) 07 Listen To What The Man Said (Rough Mix)08.Treat Her Gently / Lonely Old People (Rough Mix) 09.Crossroads Theme (Rough Mix) 10.Treat Her Gently / Lonely Old People (Rough Mix) 11.Ou Est Le Soleil (Studio Demo) 12.The Note You Never Wrote (Rough Mix) 13.She's My Baby (Take1)(Rough Mix) 14.She's My Baby (Version 2)(Rough Mix)15.Beware My Love (Instrumental)(Acetate) 16.Beware My Love (Alternate Vocal)(Rough Mix) 17.Wino Junko (Rough Mix) 18.Silly Love Songs (Rough Mix)19.Time to Hide (Instrumental) (Rough Mix) 20.Must Do Something About It (Paul on vocals) 21.Oobu Joobu(Studio Demo) DISC:2(1976-1978) 01 .Super Big Heatwave(Old Siam Sir)(Studio Demo) 02. Suicide(1977 Studio Demo) 03. Love Awake(1977 Studio Demo) 04. Sea Melody (Home Demo)05. A Fairly Tale (Home Demo) 06. Backwards Traveller (Studio Demo) 07.After You've Gone (Studio Demo) 08. I'm Carrying (Rough Mix) 09. With A Little Luck (Rough Mix) 10. I've Had Enough (Rough Mix)11. Morse Moose and the Grey Goose(Instrumental) (Rough Mix)12. Mull of Kintyre (Rough Mix) 13. Did We Meet Somewhere Before? (Rough Mix)14. Same Time Next Year (Rough Mix)15. It Seems Like Old Time (Piano Demo) 16. It Seems Like Old Time (Piano Demo) 17. SMA (Studio Demo)18. Rupert Song (Version 1)(Acetate)19. The Castle Of The King Of The Birds(Acetate) 20. Sunshine Sometime(Acetate) 21. Sea Melody(Acetate) 22. Rupert Song (Version 2)(Acetate)