Name: Jeff Beck ジェフ・ベック/Blow By Blow US 8Track Quadraphonic Tape
SKU: CD-N04024
Price: 1940 JPY
Availability: InStock

Jeff Beck ジェフ・ベック/Blow By Blow US 8Track Quadraphonic Tape

「10代のままの初恋の人と、今になって再会する」……そんな体験をされた方は、まずいないでしょう。しかし、本作は、そんな“あり得ない感覚”がふつふつと沸き上がってくる２枚組なのです…………ワケの分からない書き出しになって申し訳ありません。それもこれも、本作の魅力をどう伝えればいいか悩み抜いた結果なのです。聴けば一発で分かる、この音の魅力。一体どうやって文字でお伝えすればいいのか……チャレンジですが、やってみましょう。「本作は、ジェフ・ベックの超傑作『ギター殺人者の凱旋』の特殊バージョン。クアドラフォニック（４ch）ミックスの８トラック・カセットを通常のステレオ８トラ・プレイヤーで再生し、２種類の２chステレオでデジタル化した２枚組アルバムです」ほら、「？？？？」でしょ（笑）。本当に、聴いていただければ瞬間で「面白い！」と膝を叩いていただけるサウンドなのですが………ここはひとつ、“超名盤の新たな一面が分かる名作”と一度信じ込んでいただき、ややこしい説明に根気強くお付き合いをお願いします。まず、本作の大本となったのは「ギター殺人者の凱旋」の「クアドラフォニック・８トラック・テープ」。この通称「８トラ」は60年代からアメリカのカーステを中心に隆盛を極めたカセット・メディアで、80年代前半までかなりの数のアルバムがLP・カセットと並行して公式リリースされるほどでした。その中でも限られたいくつかの作品には激レアな「クアドラフォニック版」も制作され、「ギター殺人者の凱旋」もそのひとつだったわけです。通常の「８トラ」は２chステレオで、クアドラフォニック版には専用の再生機が必要です。しかし、そこをあえて「２chステレオ」のプレイヤーで再生すると、「４ch→リア／フロント２種の２chステレオ」に分離する。本作は、これを「ギター殺人者の凱旋」で行ったもので、「リア」「フロント」のステレオ２種を、２枚のCDに分けて収録しているのです。……やっぱり、「？？？？」ですよね（苦笑）。それでは、本作の“面白さ”に集中しましょう。どんな珍盤だろうと聴いて感動しなければ“ゴミ”に過ぎませんが、本作は光り輝く“宝石”なのですから！ざっくばらんに言って、本作は「ギター殺人者の凱旋」の特殊ミックス盤の２枚セットです。ディスク１は、言わば「リア・チャンネル」アルバム。曲にもよりますが、ジェフのリードギターが遠かったり、ソロが抜けていたりする反面、バッキング・ワークは鮮烈で、マックス・ミドルトンも大活躍する１枚です。一部の曲では、リード不在のカラオケ風に聞こえてしまうこともありますが、「Scatterbrain」「Freeway Jam」ではジェフのオーバーダブや大きくうねるフロイト・ローズの響きが新鮮で、ソロ／バッキング共に生々しく轟くのです。そして、ディスク１以上に要となるのが「フロント・チャンネル」のディスク２。こちらは、ディスク１とは反対にジェフのテーマ、オブリガート、ソロが縦横無尽に大爆発！　「Cause We've Ended As Lovers」ではリードメロディが大フィーチュアになり、「Diamond Dust」はジェフとストリングスのみという幻想世界が眼前に広がる。名シンガーがアカペラで歌えば、伴奏付きとは別次元の感動バージョンが生まれますが、そのギター版なわけです。その他にも、どの曲も発見の連続。例えば「Scatterbrain」は、実はユニゾンが弾き切れていないことも分かります。名盤中の名盤の名演中の名演が、“弾けてない”。実際に耳にしてなお「まさか」とも思いましたが、通常の公式アルバムと聞き比べてもテイクはまったく同じ。いくら精密にコピーしても何故か再現できなかった“あの味”の正体は、こんなところにもあったわけです。言い換えると、本作は「正規盤を２種ミックスに分解したアルバム」です。しかし、この言葉から連想する「パーツ感」がほとんどないところも、本作の“宝石”たるゆえん。「リア／フロント」は、本来同時に鳴ることが想定されていますから、完全に分離されてはおらず、互いのサウンドが遠くに聞こえる。これが音楽総体のイメージを柔らかく伝え、美しい「音楽作品」としても聴けてしまうのです。織物に例えてみましょう。１枚の布を完全に解いてしまったらただの糸ですよね？　ですが、本作はそこまで分解されてはおらず、「タテ糸模様」と「ヨコ糸模様」の２枚に分かれているようなもの。それぞれにパーツではあるものの、「音楽全体の中から浮き立つ一部」として十二分に美しいのです。しかも、元となる織物に描かれているのは、一瞬でギター史を塗り替えた超名画。その意匠の意図やこだわりがより鮮烈に、よりダイレクトに聞こえてくるのですから、その旨味は計り知れないほどに深いのです。特殊すぎる音源の背景ゆえに、やたら面倒くさい説明になってしまいました。筆力不足をお詫びすると共に、ここまでお付き合いくださった方には心から感謝いたします。その忍耐は絶対、無駄にはなりません。いえ、数百倍、数千倍の喜びとなって返ってくることでしょう。だって、40年も聴き倒した“人生の１枚”が生まれ変わったんですから。しかも、音が妙チクリンに加工されているわけではなく、ゴテゴテと飾り立てられたわけでもない。あの頃感じた“美しさ”そのままでありながら、想像したこともないほどに新鮮な姿で耳元にあるのです。これが、冒頭に書いた「10代のままの初恋の人と、今になって再会する」の意味です。はにかんだ微笑みは、“心の奥に刻まれた通り”と感じるのに、想い出のどこを探しても見つからない“初めて見る笑顔”でもある。本作は、夢にまで望んだとしても、絶対にあり得ない体験を実現させてくれるアルバムなのです。 Taken from the original US 8 Track Quadraphonic Tape Disc 1 (44:37) 1. You Know What I Mean 2. She's A Woman 3. Constipated Duck 4. AIR Blower 5. Scatterbrain 6. Cause We've Ended As Lovers 7. Thelonious 8. Freeway Jam 9. Diamond Dust Disc 2 (44:37) 1. You Know What I Mean 2. She's A Woman 3. Constipated Duck 4. AIR Blower 5. Scatterbrain 6. Cause We've Ended As Lovers 7. Thelonious 8. Freeway Jam 9. Diamond Dust