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Michael Schenker マイケル・シェンカー/France 1983

唯一無二のフライングVサウンドに人生を狂わされた皆さまにおくる、黄金期の蔵出し音源が登場です! 本作は「限りなき戦い」に伴い、IRON MAIDENの前座としてヨーロッパを回った際の初登場テープ。ごく最近、ネットに登場して話題沸騰中の新発掘オーディエンス録音です。M.S.G.というとほとんど新発掘がないバンドで、30年以上前の録音が出てきただけでも驚きなのですが、その音質がまた凄い。長年秘匿されてきたテープには経年劣化が目立つものですが、それもなく、楽器群の分離、クリアさ、音の芯の強さ、いずれも満点。しかも、(海外公演にしては珍しいほど)観客の歓声がほど良く、演奏をまったく邪魔しない。いわゆる「サウンドボード級」というやつです。30年の時間を飛び越えてきたテープに記録されているのは、才気がこぼれ出す全盛のマイケル・シェンカーの姿。シェンカーというと、UFOや1981年のツアーが特に注目を集めますが、1983年も立派なベスト候補。ここには、フィル・モグやコージー・パウエルといったスターはいませんが、かえって“マイケル一極集中”となり、フライングVを存分に味わえると人気が高いのです。その旨みはオープニングの「Captain Nemo」から炸裂! その後もロックン・ロールがベースのUFOとは違う、キッチリとした構築感ががんがん連発されていきます。このツアーはIRON MAIDENの前座ゆえに50分ほどの短いセットで、なんとUFOのレパートリーも一切なし。「神」「神話」「限りなき戦い」3枚だけの“シェンカー純度100%”なベスト選曲で、MCもほとんど入れずに徹底的に名曲を畳み掛けていくのです。このスピード感と緊張感が本当に素晴らしい。M.S.G.に限らない話ですが、前座の短いライヴは曲数の少なさから軽く見られがちです。しかし、“トリを食ってやろう”という情熱や短い時間内でバンドの魅力を凝縮させる集中力は、前座の方が強烈。特にブレイクを目指している時期のバンドであれば、そのたぎる野心が溢れんばかりに味わえるのです。まして、M.S.G.は長いインプロやゆったりグルーヴで聴かせるタイプではなく、構築感の中でギターが泣きに泣くバンド。次々とメロディを畳み掛けるステージは、めくるめくような快感なのです。また、本作はゲイリー・バーデンにとってもベスト・パフォーマンス。もちろん、別人のような超絶歌唱で圧倒するわけではありませんが、「Desert Song」や「Rock You to the Ground」のような無茶な曲もなく、短いセットを疲れ知らずのまま最後まで突っ走る。オフィシャル・ライヴでは差し替えの多い人ですが、100%リアルのオーディエンス録音でも聴き劣りするどころか、安定していてパワフル。公式ビデオではデレク・セント・ホルムズが歌っていた「I'm Gonna Make You Mine」も難なくこなしてしまい、「こんなに歌える人だったんだ……」などと、失礼なことまで思ってしまうほど。「Still Love That Little Devil」もオリジナル・ミックスに近く、ゲイリーがメインで歌っています(ただし、テンポは超速!)。直前のイギリス・ツアーでデレクが脱退したとは言え、アンディ・ナイのコーラスがデュエットばりの大活躍で不足感なし。ゲイリーの歌に不満の声もあった当時こそデレクの上手さが注目されたものですが、2000年代になって実際に歌の上手いシンガーと組んだシェンカーを知っている今の耳で聴くと、やはりゲイリーの声こそがM.S.G.。デレクの細い声質はコーラスには良かったのですが、全面に立たれると違和感は拭えず、結果的にはデレクがいない方が良いショウになっているのではないでしょうか。とにかくキビキビとしていて爽快、そしてオーディエンス録音のリアルなパッションが吹き出す素晴らしいライヴです。これだけの音楽を奏でながら、残念ながらMSGは世界的に正統な評価を受けてきたとは言えません。この時期ですら後輩IRON MAIDENの前座に止まり、翌年には空中分解の憂き目に遭ってしまう。まして21世紀も15年目に入ろうという現代では、欧米のさまざまな“偉大なギタリスト・ランキング”でもマイケルの名を見る機会はほとんどなくなってしまいました。そう、世界でもっとも彼の音楽を愛し、長年にわたって忘れないのは私たち日本人なのです。「オフィシャルもサウンドボードもある時期なのに、オーディエンスが必要かな?」と思われた方、それももっともです。しかし、ここにいるのは、たっぷりと脂が乗りながら、余裕よりも野心をむき出しにするマイケル・シェンカー。類い希なる天才がもっとも輝いていた時代の全力疾走です。それが現場の観客に、どんな音で届いていたのか。それが最上級の形で残された、歴史的証拠なのです。 Live at Maison Des Sports, Clermont-Ferrand, France 19th November 1983 PERFECT SOUND (52:04) 1. Captain Nemo 2. Rock My Nights Away 3. Are You Ready To Rock 4. Cry For The Nations 5. On And On 6. Attack Of The Mad Axeman 7. Into The Arena 8. Courvoisier Concerto 9. Rock Will Never Die 10. I'm Gonna Make You Mine 11. Still Love That Little Devil 12. Armed And Ready Michael Schenker - Guitar Gary Barden - Vocal Chris Glen ? Bass Ted McKenna - Drums Andy Nye ? Keyboard

Michael Schenker マイケル・シェンカー/France 1983

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