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BB & A Beck,Bogert & Appice ベック・ボガート・アンド・アピス/NY,USA 1973

世界中のマニアが色めき立っている話題の新発掘マスターがリリース決定です。本作に収められているのは「1973年4月9日ニューヨーク公演」。マディソン・スクエア・ガーデン内にある劇場“フェルト・フォーラム(現:ワム・シアター)”のオーディエンス録音です。「1973年」「フェルト・フォーラム」と言えば、“4月10日”の録音も知られていますが、本作は完全別ライヴ。実はフェルト・フォーラムは2日連続公演であり、本作はその初日を収めたライヴアルバムです。この録音は、最近になって名門「Krw_co」から発掘されたものなのです。しかし、ただの新発掘だったら話題にはならない。真の衝撃は、そのクオリティ。マスターからダイレクトにデジタル化されたらしく、実に素晴らしいヴィンテージ・サウンドなのです。実際、本作を再生して流れるのは力強くも端正なサウンド。とにかく楽音の芯は荒縄の如く極太で、会場音響どころか距離感さえも感じさせないダイレクト感も強烈。70年代オーディエンスなら低音が弱くても眼をつぶるところですが、本作のベースはブリブリと逞しく轟く。特に凄いのは、ヴォーカル。他の楽器はそれでも鳴りにオーディエンスっぽさを感じなくもないのですが、歌声はほとんどラジオ録音かのようです。それだけパワフルでありながら、歪みやオーバーピークがほとんどないのも驚異的。ドラミングのタッチは1打1打まで詳細で、ベースもラインの輪郭がクッキリ。肝心要となるジェフの気紛れギターも、ちょっとしたチョーキングや引っ掻くようなトーンまでえらく鮮やかに捉えられている。しかも、その1つ1つが綺麗に分かれており、最強トリオの有機的な絡みがあやとりの糸のように1本ずつ追えるし、総体での形も美しいのです。さらに追記したいのは、オーディエンス・ノイズ。猛烈な演奏に圧倒されているのか、演奏中の話し声や耳障りな音がほとんどない。もちろん、キメには声援や口笛も飛びますし、曲間には盛大な喝采が沸き上がる。しかし、それらもまるでテレビ放送用にミックスでもされているかのように絶妙なバランス。逞しい演奏音/歌声とも相まって、聴いているうちにオーディエンスであること忘れるのです。そのサウンドで描かれる熱演がもう最高。今なお、最強と言われるトリオの絡みは詳細サウンドだからこそ強烈。とにかく三者三様に歌心が素晴らしい。強力なうねりを生み出しながらどこまでもメロディアスなベース、語りかけるように多弁でパーカッシヴなドラム、その間を自在に泳ぎ、悪戯を仕掛けるように挑発するギター。細かく聴き込むほどに3人が勝手気ままに演奏しているようでありながら、総体ではパワフルでダイナミックなロックソングを描き、ポップささえも滲む歌声が分かりやすく観客をノセる。3人が3人とも自分の演奏にも相手の演奏にも集中し、その上で全体像まで把握している……。単に楽器の達人が集まっているのとは異なる、“音楽センス”の集合体が鮮やかに浮かび上がる。そして、それがハッキリと味わえるほど、本作のサウンドは素晴らしいのです。まさに天才が天才を選んだスーパー・トリオ、BB&A。全力で戦いながらもキャッチーでダイナミックなロックを忘れなかった彼らのステージ。それを克明に伝えてくれる新たなる傑作の誕生です。 Live at Felt Forum, New York, NY. USA 9th April 1973 (77:44) 1. Superstition 2. Livin' Alone 3. I'm So Proud 4. Lady 5. Morning Dew 6. Drum Solo 7. Sweet Sweet Surrender 8. Black Cat Moan 9. You Shook Me / Beverly Hillbillys / Black Cat Moan 10. Why Should I Care 11. Plynth 12. Shotgun 13. Jeff's Boogie 14. Oleo / Big Mama Boogie

BB & A Beck,Bogert & Appice ベック・ボガート・アンド・アピス/NY,USA 1973

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